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クローン選択説 クローンせんたくせつclone selection theory

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

クローン選択説
クローンせんたくせつ
clone selection theory

免疫機構について現在の主流をなす説。1種類ずつの抗体を生産 (産生) する細胞が多数あって,抗原によってそれに対応する抗体生産細胞のみが選択的に増殖を刺激されて,同種細胞の集団 (クローン) が成立し,抗体を盛んに合成するという考え。オーストラリアの F.M.バーネットが提唱した (1957) 。これ以前には,同一の抗体生産細胞が多種類の抗体生産の潜在能力をもっていて,抗原がくるとそれが鋳型となって,抗体の種類が決るという鋳型説もかなり有力であり,それと対照的なものとして,クローン選択説が提出された。この見方では,抗体であるγ-グロブリンという蛋白質のための遺伝子は最初から個体内に存在し続けていることになるので,遺伝子は環境条件に直接に対応して変化しないという,現在の分子遺伝学の結論によく合致する。その反面,準備されているべき抗体用遺伝子の数はきわめて多数となるが,これは考えられないことではないとの試算なども行われている。個体自身がもつ各種抗原に対しては,発生途上でそれら抗原に対応する抗体生産細胞のクローンは発育を差止められて,いわゆる禁止クローンとして脱落していくものと考えられている。この禁止機構がうまく作用しなかった場合に自己免疫病が生じる。

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法則の辞典の解説

クローン選択説【clonal selection theory】

免疫特異性担い手は,抗体分子ではなくリンパ系細胞そのものであるという免疫理論の一つ.

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世界大百科事典 第2版の解説

クローンせんたくせつ【クローン選択説 clonal selection theory】

1957年にバーネットF.M.Burnetによって提唱された免疫理論。高等動物は異物(抗原)の侵入に対して抗体を産生する。産生された抗体は,その抗原に対して特異性をもつ。この特異性を説明する理論として提唱されたのがクローン選択説である。 この説の骨子は,(1)個体発生の初期(胎生期ないし新生期)に抗原に特異的に反応する細胞(すなわちクローン)がランダムに生じる,(2)そのなかから自己抗原に対応したクローンは禁止(消去)されるので外来抗原に対応したクローンのみが存在するようになる,(3)外来抗原は生体に侵入したとき特異的クローンを選択してその細胞を増殖させる,というものである。

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世界大百科事典内のクローン選択説の言及

【免疫】より

…一つの細胞が抗原によって選択されれば,その細胞の一連の子孫(クローン)が増える。この増えた細胞が抗体の合成や細胞性免疫を行うと考えるのが,F.M.バーネットのクローン選択説である。すなわち一度増えたクローンは,同じ抗原の刺激で急速に増殖し抗体をつくるので,二次免疫反応が起こるという考えである。…

※「クローン選択説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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