日本大百科全書(ニッポニカ) 「クートー」の意味・わかりやすい解説
クートー
くーとー
Lucien Coutaud
(1904―1977)
フランスの画家。ニームの近くのメーヌ(ガール県)に生まれる。父親から金工の手ほどきを受けたのち、ニームの美術学校に通う。1924年にパリに出る。2年後、演出家・俳優のシャルル・デュランの注目するところとなり、アトリエ座の舞台装置と衣装を担当。以来、数多くの舞台デザインを手がけた。1941年からはサロン・ドートンヌやサロン・デ・チュイルリーに出品。1945年には第二次世界大戦中の抵抗画家とともにサロン・ド・メの創立メンバーとなる。1940年ころからその作風はシュルレアリスム風の幻想的傾向をみせ、神秘に満ちた象徴的構図のなかに、奇妙なメタモルフォーズを展開する。切れ切れの人体、棘(とげ)や節をもち、ときに冷ややかな機械を思わせる四肢などは、彼独自の形象である。壁画やタペストリーの下絵、版画などにも手を染めている。
[大森達次]