ニーム(読み)にーむ(英語表記)Nîmes

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニーム」の意味・わかりやすい解説

ニーム
にーむ
Nîmes

フランス南部、ガール県の県都。アビニョン南西約40キロメートル、セベンヌ山麓(さんろく)のコスチエール丘陵とローヌ川沖積平野との接触点に位置する。人口13万3424(1999)、15万0672(2015センサス)。ぶどう酒、ブランデー穀物織物の取引や、繊維、農業機械、化学などの工業も盛んである。壁掛け織物、帽子は特産品。ローマ皇帝アウグストゥスによって建設され、泉の精ネマウススにちなみ、コロニア・ネマウスス・アウグスタColonia Nemausus Augustaとよばれ、ガリアのもっとも富裕な町といわれた。その後ゲルマン民族イスラム教徒の侵入を受けて破壊された。1185年にはトゥールーズ伯領、1229年にはフランス王領となった。市民には新教徒が多く、16、17世紀の宗教戦争では悲惨を経験した。第二次世界大戦では被害を受けたが、ローマ時代の遺跡はよく残っている。おもなものに、トゥール・マーニュ(大塔)、円形闘技場、コリント様式の寺院(メゾン・カレー)、また市の北東郊にはアビニョンとの間のガール川に架かる最大のローマ水道橋(ガール橋)などがある。小説家ドーデ、歴史家ギゾーの生地

[青木伸好]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニーム」の意味・わかりやすい解説

ニーム
Nîmes

フランス南部,ガール県の県都。古代名ネマウスス Nemausus。マルセイユ北西約 100km,ローヌ川下流平野に位置する商工業都市。ケルト人のアレコミキ部族の中心集落であったが,前120年にローマに征服され,属州ナルボネンシスの都市として栄えた。多くの村落を管轄下に置き,城壁に囲まれ,水道橋(ポンデュガール)で水を引いた。当時の円型闘技場(長径 135m,短径 100mの楕円形。2万4000席),メゾン・カレディアナ神殿,マーニュ監視塔,公衆浴場,泉園などの遺跡が現在もよく保存されている。中世にはプロテスタントの一中心となり,ビロード絹織物の産地として栄えたが,ナントの勅令の廃止(1685)で,プロテスタントの多くが亡命したため打撃を受けた。歴史家フランソア・ギゾー,小説家アルフォンス・ドーデの生地。ラングドックのブドウ栽培地帯を控え,ワイン,ブランデーの集散が盛ん。機械,繊維,製靴,食品加工,電機などの工業がある。人口 14万267(2008)。

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