デュラン(読み)でゅらん(英語表記)Charles Dullin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デュラン」の意味・わかりやすい解説

デュラン
Durand, Jean-Nicolas-Louis

[生]1760. パリ
[没]1834. ティエヒー
フランス革命期の建築理論家。パリのエコール・ポリテクニク教授。 E.ブレらに建築を学んだが,実際の作品はほとんどなく,その著作によってフランスおよびドイツの建築に大きな影響を与えた。主著に『あらゆる種類の建築の比較対照』 Recueil et parallelle des edifices en tout genre (1800) ,『建築課程概要』 Precis et leçons d'architecture (02,09) があり,建築の機能的な側面への関心促し,建築計画の必要性を説くと同時に,建築全体を構成の基本単位に還元して再度組立て直そうとする姿勢を示した。

デュラン
Dullin, Charles

[生]1885.5.8. サボア,イエンヌ
[没]1949.12.11. パリ
フランスの俳優,演出家。 1905年パリへ出てメロドラマに出演,A.アントアーヌ,J.ルーシェらに見出され,『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフの役で認められ,J.コポーのビュー=コロンビエ座に参加したのち,21~41年アトリエ座主宰。ここで,L.ピランデッロ,M.アシャール,J.コクトー,A.サラクルー,J.-P.サルトルらの現代戯曲を紹介し,アリストファネス,B.ジョンソン,シェークスピア,カルデロン・デ・ラ・バルカ,モリエールなど古典の現代化に成功した。また,A.アルトー,J.-L.バロー,J.ビラール,J.マレーらすぐれた演劇人を育てた。

デュラン[サンプルサン]
Durand de SaintPourçain

[生]1270頃.サンプルサン
[没]1334.10.10. モー
フランスのスコラ哲学者。ラテン名 Durandus de Sancto Porciano。ドミニコ会士,聖人アビニョン教皇庁神学を講じ,リムー,ルピュイ司教を経て 1326年モー司教。トマス説への反対で著名。哲学においては権威より理性を重視し,個別者のみが現実で,普遍者は思惟のなかにあるのみとして,W.オッカム唯名論の先駆者となった。学界では「最敢博士」 Doctor resolutissimusと呼ばれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュラン」の意味・わかりやすい解説

デュラン
でゅらん
Charles Dullin
(1885―1949)

フランスの俳優、演出家。サボアの小村に生まれる。19歳でパリに出て放浪生活を送り、メロドラマなどに出演。1911年コポー演出『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフ役に起用されて注目を浴び、13年のビュー・コロンビエ座創立ではコポーに協力した。21年独立してアトリエ俳優学校を創設、翌年モンマルトル座をアトリエ座と改称して演劇活動を展開。『守銭奴』や『ボルポーヌ』に傑出した演技と演出で好評を博し、ジューベやピトエフとともに両大戦間の新演劇全盛時代をつくった。占領下のパリでサルトル作『蠅(はえ)』を初演。バローやビラールを育て、アルトーも彼の生徒であった。

[石澤秀二]

『シャルル・デュラン著、渡辺淳訳『俳優の仕事について』(1955・未来社)』

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