グアルディ(読み)ぐあるでぃ(その他表記)Francesco Guardi

デジタル大辞泉 「グアルディ」の意味・読み・例文・類語

グアルディ(Francesco Guardi)

[1712~1793]イタリア画家詩情あふれるベネチア風景を描いた。作「ラグーナ」「大運河リアルト橋」など。

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精選版 日本国語大辞典 「グアルディ」の意味・読み・例文・類語

グアルディ

  1. ( Francesco Guardi フランチェスコ━ ) イタリアの画家。一八世紀の代表的なベネチア風景画の大家。建物、ゴンドラ、運河などを好んで描き、幻想的な画風が特色。代表作「ラグーナ」「サン‐ボニポロ広場」など。(一七一二‐九三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グアルディ」の意味・わかりやすい解説

グアルディ
ぐあるでぃ
Francesco Guardi
(1712―1793)

イタリアの画家。ベネチアの画家一族グアルディ家の一員。父ドメニコDomenico Guardi(1678―1716)の後を継いだ長兄ジョバンニ・アントニオGiovanni Antonio Guardi(1699―1760)に画業を習い、初めはこの兄のもとで主として宗教画を手がける。しかしその一方で、マルコ・リッチMarco Ricci(1676―1730)が広めた「カプリッチョ」とよばれる仮想の風景画や、ベネチアの街をカメラ・オブスキュラ(暗箱)で、正確に描写したカナレットの絵に早くから興味を示した。後年、とくに兄の死後は、もっぱらこの種の作品を制作する。ベネチアを描いた風景画はカナレットのそれとは異なり、独特の叙情性と幻想性にあふれている。また、軽妙で暗示に富んだ筆致が描き出すその世界は、19世紀の印象派の絵画に通ずるところがある。彼はカナレットのように外国人の注意をひくこともなく、73歳になってようやくアカデミーの会員に選ばれたほど、その生涯はつつましく、その制作態度は職人的であった。だが彼の作品は特有の近代性を有しており、ベネチア・ロココ美術のなかでも異彩を放っている。

[石鍋真澄]

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改訂新版 世界大百科事典 「グアルディ」の意味・わかりやすい解説

グアルディ
Francesco Guardi
生没年:1712-93

イタリアの画家。ベネチアの画家一家に生まれ,人物画家である兄ジョバンニ・アントニオGiovanni Antonio Guardi(1698か99-1760)の協力者として前半生を過ごし,兄の死後,ベネチアの〈ベドゥーテvedute〉(都市景観図)を主として描くようになる。18世紀ベネチアの代表的風景画家としてカナレットと並び称せられ,その弟子という説もある。しかし,軽快な筆触の効果を生かした描法でベネチアの光と水と空気の印象をとらえて,詩情に満ちた画面をつくり出す作風は,客観的記録性の強いカナレットの都市景観図の対極に位置するものといってよい。宗教画,風俗画なども描くが,兄ジョバンニ・アントニオとの共同制作期における両者の分担については,いまだに不明の部分が大きい。
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百科事典マイペディア 「グアルディ」の意味・わかりやすい解説

グアルディ

イタリアの画家。ベネチア生れ。18世紀のベネチア絵画を代表する一人で,師のカナレットとともに〈ベドゥータ〉(おもに一般の観光客用に描かれたパノラマ的な都市風景画)の画家として有名。《リアルト橋を望む大運河の情景》(18世紀後半,ミラノ,ブレラ美術館蔵)などの実景描写に優れる一方で,〈カプリッチ〉と呼ばれる幻想性にあふれる情景を描いた作品を制作している。カナレットの写真的な精密描写に比べ,光の効果の出し方やタッチなどの点でより絵画的で,印象主義の先駆的な画家の一人とされる。
→関連項目ロココ美術

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グアルディ」の意味・わかりやすい解説

グァルディ
Guardi, Francesco

[生]1712. ベネチア
[没]1793. ベネチア
イタリアの画家。兄 G.A.グァルディ,義兄ティエポロの影響のもとに,初め兄との共作による宗教画から出発。兄の死後は自由な筆触によって光と大気をとらえた風景を描き,18世紀ベネチアの最大の風景画家となった。 1761~63年,フラリア・デイ・ピットーリの一員となり,84年アカデミー会員。彼の画風は,カナレットの定規を用いて描く正確な写生図とは異なり,むしろ S.リッチの奔放な装飾的な絵画の系統とみなされる。主要作品『ラグーナのゴンドラ』 (1784~89,ミラノ,ポルディ・ペッツォーリ美術館) ,『リアルト橋』 (ロンドン,ウォレス・コレクション) 。

グァルディ
Guardi, Giovanni Antonio

[生]1699.5. ウィーン
[没]1760.1.23. ベネチア
イタリアの画家。父ドメニコ (1678~1716) は,18世紀初頭にベネチアに移住した画家。弟 F.グァルディは 18世紀ベネチアを代表する風景画家,末弟ニコロ (15~86) も画家で,作品の多くは兄弟の合作。遺作は第2次世界大戦中破壊された『ヨゼフの死』のみであるが,多くの宗教画,装飾画を描いたことが伝えられる。

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世界大百科事典(旧版)内のグアルディの言及

【イタリア美術】より

バロック美術
【18~19世紀】
 18世紀は,ベネチアが,印象主義の真の祖とも呼びうる〈ベドゥータveduta(眺望画)〉によって,現代を予告している。カナレット,F.グアルディは,外光の描写を初めて実現した。また,ローマでは建築家G.B.ピラネージが古代ローマの遺跡の版画集を出版し,新古典主義に大きな刺激を与えた。…

【ベネチア派】より

…ジャンル的には,とくにベネチア派独自のものとして街景画(ベドゥータveduta)と肖像画をあげることができよう。ヤコポ・ベリーニ以来の人物より環境空間を重視する傾向は,一方ではジョバンニ・ベリーニ,ジョルジョーネ,初期のティツィアーノという抒情的な理想郷的風景表現の系譜となり,他方でジェンティーレ・ベリーニやカルパッチョから18世紀のカナレット,ベロットに至る都市空間を明晰な遠近法で再現する街景画の系譜となって,近代的風景画の中に流れ込んでいく(この中でグアルディは街景画を非現実的な詩的幻想に転じたことで異色の存在である)。一方,肖像画は,ジョバンニ・ベリーニやアントネロ・ダ・メッシナからロット,ティツィアーノ,ティントレットに至る伝統が,濃密な生動感と鋭敏な精神性をたたえた近代的肖像画の源泉として輝かしい光彩を放っている。…

※「グアルディ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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