グスタフ(その他表記)Gustav

デジタル大辞泉 「グスタフ」の意味・読み・例文・類語

グスタフ(Gustav)

(1世)[1496~1560]スウェーデン王。在位1523~1560。バーサ王家の開祖デンマーク治下にあった祖国を解放して、即位宗教改革を実施。スウェーデン王国基礎を固めた。グスタフ=バーサ。
(2世)[1594~1632]スウェーデン王。在位1611~1632。の孫。デンマーク・ロシアポーランドと戦い、領土を拡張して北欧第一の強国とした。三十年戦争介入新教徒から「解放者」と敬愛されたが、リュッツェンの戦いで戦死。「北方獅子」とよばれた。グスタフ=アドルフ
(5世)[1858~1950]スウェーデン王。ノルウェー独立を支持。第一次、第二次の両大戦では中立を守った。

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精選版 日本国語大辞典 「グスタフ」の意味・読み・例文・類語

グスタフ

  1. ( Gustav )
  2. [ 一 ] ( 一世 ) スウェーデン王(在位一五二三━六〇)。バサ王朝の開祖。当時デンマーク領であった祖国の独立のために戦い、その目的を達成。産業を盛んにして、近世スウェーデンの基礎を築いた。(一四九六‐一五六〇
  3. [ 二 ] ( 二世 ) スウェーデン王(在位一六一一‐三二)。デンマーク、ロシア、ポーランドと戦って、バルト海を制圧。三〇年戦争に介入して、リュッツェンの戦いで戦死した。国内では絶対主義体制をととのえ、スウェーデンをヨーロッパの強国にした。(一五九四‐一六三二

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グスタフ」の意味・わかりやすい解説

グスタフ(2世)
ぐすたふ
Gustav Ⅱ
(1594―1632)

スウェーデン王(在位1611~32)。グスタフ・アドルフGustav Adolfともいう。グスタフ・バーサの孫。17歳で親政をとり、名宰相オクセンシェーナと協力して中央・地方行政を整備し、軍隊組織を強化し、貴族院を設置して貴族支配を確立した。経済分野ではオランダ人を招いて外国資本の導入を図り、関税、物品税を課して貨幣経済を促進した。またウプサラ大学に王室領を寄贈して学芸の振興にも努めた。さらに法律も整備して各主要都市に控訴裁判所を設けた。外交では、父王の開始した対デンマーク、対ロシア戦争を講和で切り抜け、続行中の対ポーランド戦争に総力を結集し、リガ、リボニアをはじめ、ダンツィヒ(現グダニスク)を除く大半を占領し、1629年に休戦を果たした。翌年ポメラニアに上陸し、三十年戦争に介入することになった。31年ブラティフェルトの戦いで大勝し、その後新教徒の救世主としてドイツ各地で皇帝軍と戦ったが、リュッツェンの戦いで戦死した。英主として内政、外征で数多くの輝かしい業績を残し、「バルト海帝国」への道を開いた。

[清原瑞彦]


グスタフ(3世)
ぐすたふ
Gustav Ⅲ
(1746―1792)

スウェーデン王(在位1771~92)。前王時代に王権が弱体化し、二大貴族勢力の政権争いが続いたが、1772年に無血クーデターを成功させ、王権を奪回した。啓蒙(けいもう)的君主として、死刑の緩和、拷問の廃止、出版・宗教の自由、ユダヤ人の国内居住などの承認を行い、また財政改革も行った。少年時代に高名な文化人から美学、歴史学、文学の教育を受け、文芸に深い関心を寄せた。戯曲、歌曲を創作するなどとくに演劇を愛好した。芸術院、音楽院、歴史・考古学院を創設し、学芸を保護したため、著名な科学者、文人が輩出した。治世後10年ごろから王権の伸展を嫌う貴族と対立し、また焼酎(しょうちゅう)の専売制を導入したため国民とも離反した。そのため内政から国外に目を向け、88年にロシアに宣戦したが、将校の反乱をみた。これを即座に鎮圧し、同年のデンマークの侵略を農民軍とともに闘い、反対貴族を抑えて絶対王政を回復した。しかし、反対派貴族に仮装舞踏会で撃たれたのが原因で死去した。

[清原瑞彦]


グスタフ(1世)
ぐすたふ
Gustav Ⅰ
(1496―1560)

スウェーデン王(在位1523~60)。グスタフ・バーサGustav Vasaともいう。バーサ王朝の開祖。長年続いたデンマーク支配から、リューベックの支援を得て農民軍とともに祖国を解放した。即位後、教会領を没収し、教会を国王の管轄下に置くなどして宗教改革を断行した。また、低貴族による代官制を採用して行政改革も行った。1533年に、リューベックの同国内での特権を廃止し、スウェーデンの商人を保護した。急激な宗教、社会変革に反目した農民はたびたび一揆(いっき)を起こしたが、これをすべて鎮圧し、国の安泰を図った。長年の戦争、動乱で疲弊した経済の振興のため、農業、商業、鉱山業の改善に努めた。さらに国力を安定させるために国王の世襲制を決めた。スウェーデンの近代建国の父とされる。

[清原瑞彦]

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百科事典マイペディア 「グスタフ」の意味・わかりやすい解説

グスタフ[2世]【グスタフ】

スウェーデン国王(在位1611年―1632年)。グスタフ・アドルフとも。〈北方の獅子〉と呼ばれる。ロシア,ポーランド,デンマークと戦ってバルト海に進出。三十年戦争に介入しドイツ新教徒を援助して連勝しミュンヘンを攻略したが,リュツェンの戦で戦死。オクセンシェーナ伯を用いて内治にも意を注ぎ,当時のヨーロッパの大強国を建設した。
→関連項目スウェーデンブーロースワレンシュタイン

グスタフ[1世]【グスタフ】

スウェーデン国王(在位1523年―1560年)。グスタフ・バーサとも。バーサ朝の始祖。グスタフ2世の祖父。デンマーク支配下で祖国独立のために戦い,一時は捕らえられたが,農民を率いて反抗し,独立を回復して即位。ルター主義による国教会制度,常備軍,官吏制度などを導入してスウェーデン発展の基礎を築いた。
→関連項目スウェーデンヘルシンキ

グスタフ[5世]【グスタフ】

スウェーデン国王(在位1907年−1950年)。その治世下に男子普通選挙法(1908年)や婦人参政権の実現(1918年)など議会制民主主義が整ったが,国王として強く政治に関与した。

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