グッタペルカ(読み)ぐったぺるか(英語表記)gutta-percha

翻訳|gutta-percha

デジタル大辞泉 「グッタペルカ」の意味・読み・例文・類語

グッタ‐ペルカ(〈マレー〉gutta-percha)

グッタペルカノキまたはその近縁植物からとった樹液。乾燥したものは硬いが、50度以上に熱するとゴム状になり可塑性がある。耐酸容器・歯科治療材・電気絶縁材料などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「グッタペルカ」の意味・読み・例文・類語

グッタペルカ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] gutta-percha 元来はマライ語 ) グッタペルカの木の樹皮から採取した乳液を乾燥したもの。ポリイソプレン構造をもつグッタを主成分とする灰色または赤褐色弾性のない固体。摂氏五〇度以上に加熱すると塑性(そせい)や弾性が現われ、ゴム状となる。電気絶縁性がよく、化学的に安定しているので、海底ケーブルの絶縁被覆、包帯液、耐酸容器、ゴルフボールの被覆などのほかに、膨縮性が少ない、刺激性がないなどの特性から、歯科では歯根管への詰め物材として重用された。〔舶来語便覧(1912)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グッタペルカ」の意味・わかりやすい解説

グッタペルカ
ぐったぺるか
gutta-percha

マレーシア原産のアカテツ科パラキウム属の植物(学名Palaquium gutta)の樹液が固まった天然樹脂で、ガタパーチャともいう。主成分はトランス-1,4-ポリイソプレンであり、天然ゴムの幾何異性体である。


天然ゴムに比較して分子量が10分の1以下で、分子間力が大きく、白~赤褐色の硬い固体である。50℃以上に加熱すると軟らかく可塑性を示す。ベンゼンクロロホルム可溶で、濃硝酸と濃硫酸に侵されるが、その他の酸やアルカリには安定である。電気絶縁性が高く、19世紀後半から海底電線の被覆に用いられたが、20世紀後半にポリエチレンで置き換えられている。ゴルフボール外皮や歯科医療充填(じゅうてん)剤の用途があり、かつてカメラのボディの貼皮に使われた。

[福田和吉]

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改訂新版 世界大百科事典 「グッタペルカ」の意味・わかりやすい解説

グッタペルカ
guttapercha

ガッタパーチャとも呼ばれる熱可塑性のゴムに似た物質。アカテツ科のパラクイウム属Palaquiumおよびパエナ属Payena植物の乳液が固まったもの。乳液の主成分はグッタ(68~88%)で,他に樹脂,灰分などを含む。グッタの化学構造は弾性ゴムのものとよく似ており,グッタはイソプレンがトランス-1,4型に重合したものであるが,弾性ゴムはシス-1,4型に重合したものである。結晶性に富み,室温では固体であるが,50℃以上ではやわらかくなる。ベンゼン,クロロホルムには溶けるが,他の有機溶剤や,酸,アルカリに対して安定である。これらの性質を利用し,古くは海底電線の絶縁性被覆材料に使われていたが,近時はゴルフボールの外皮,歯科用充てん剤などに使われているにすぎない。日本は全量輸入している。類似物としてバラタbalata(ミムソプス属Mimusops植物より採れる)がある。
樹脂
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百科事典マイペディア 「グッタペルカ」の意味・わかりやすい解説

グッタペルカ

ガッタパーチャとも。アカテツ科のパラクイウム属およびパエナ属の植物の乳液から得られる白ないし赤褐色の熱可塑性樹脂。軟化点約50℃。主成分は天然ゴムと同じくイソプレンの重合体(C5H8)(/n)であるが,天然ゴムがシス型であるのに対し,トランス型である点が異なる(幾何異性)。分子量は2万〜3万。有機溶剤に可溶。電気絶縁材,歯科用充てん材などに用いられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グッタペルカ」の意味・わかりやすい解説

グッタペルカ
gutta-percha

ガタパーチャともいう。マレー半島,スマトラ,ボルネオ島に野生するグッタペルカノキ Palaquium gutta (アカテツ科) の乳液からとれるゴム状物質。主成分はグッタと呼ばれ,ゴムと同様の構造をもつ。しかし,ゴムと違って,弾性がなく,高温でも水中でも性質が安定しているので,ポリエチレン樹脂に取って代られるまでは,海底電線の被覆用やゴルフボールに用いられた。歯科医療では現在でも充填剤として使用されている。

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栄養・生化学辞典 「グッタペルカ」の解説

グッタペルカ

 (1) アカテツ科の植物[Palaquium gutta].(2) アカテツ科の植物グッタ-ベルカの樹液からとる樹脂.天然ゴムに似ている.チューインガム基礎剤などに使う.

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世界大百科事典(旧版)内のグッタペルカの言及

【ゴム】より

…しかし東南アジアからの輸入にたよらずとも自国内でも戦略物資である天然ゴムが生産可能であること,砂漠に近い乾燥地帯の荒地でも栽培可能であることなどから,メキシコやアメリカなどでその生産が積極的に検討されている。なお,弾性ゴム類似の分子構造をもつ天然物としてはグッタペルカ,バラタなどがある。これらはゴルフボールの外皮などに使用されるが,その分子構造はトランス‐1,4結合ポリイソプレンで,シス‐1,4結合ポリイソプレンである天然ゴムの立体異性体である。…

【有用植物】より

… ゴムによく似ているが弾性がない乳液生産物は,無弾性ゴムとしてまとめられよう。アカテツ科でマレーシア地域産のグッタペルカや中南米産のサポジラ(チクル)はチューインガムや海底電線の被覆材として重要であるし,キョウチクトウ科でマレーシア地域産のジェルトンの乳液はチクルの代用品とされる。(2)樹脂植物 樹液が固化した樹脂状のものでは,ペクチンに似た糖質のアラビアゴム系(英名gum)のものと,精油成分の酸化還元物である樹脂(英名resin)とが人間によって広く利用される。…

※「グッタペルカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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