グッドマン(英語表記)Benjamin(Benny)Goodman

デジタル大辞泉 「グッドマン」の意味・読み・例文・類語

グッドマン(Benny Goodman)

[1909~1986]米国のクラリネット奏者。本名、ベンジャミン=デビッド=グッドマン(Benjamin David Goodman)。1930年代後半、爆発的なスイングジャズのブームを生み、「スイング王」と呼ばれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グッドマン」の意味・わかりやすい解説

グッドマン(Nelson Goodman)
ぐっどまん
Nelson Goodman
(1906―1998)

アメリカの哲学者。マサチューセッツ州の生まれ。ハーバード大学で学び、ペンシルベニア大学ハーバード大学などで教えた。博士論文を準備しつつ美術ギャラリーを運営し、ハーバードで芸術研究のゼロ・プロジェクト、夏期ダンスセンターを創始するなど、芸術とのかかわりが深い。その哲学説の中核は記号学的な世界認識の学である。世界は事実として与えられているのでなく、われわれが構成する。その構成に際して用いられる記号体系の違いにより、また世界のなかのいかなる要素に注目して構成するかによって、いくつもの世界が現れるが、それらはすべて実在の世界とみなされる。この世界制作は言語記号によってなされるだけでなく、美術や音楽などによってもなされる。芸術は世界解釈の一つの形式にほかならず、その美的体験は世界の構成に変更をもたらすダイナミックな過程である。

佐々木健一 2015年10月20日]

『N・グッドマン著、雨宮民雄訳『事実・虚構・予言』(1987・勁草書房)』『ネルソン・グッドマン著、菅野盾樹・中村雅之訳『世界制作の方法』(1987・みすず書房/ちくま学芸文庫)』『N・グッドマン、C・Z・エルギン著、菅野盾樹訳『記号主義――哲学の新たな構想』(2001・みすず書房)』


グッドマン(Benny Goodman)
ぐっどまん
Benny Goodman
(1909―1986)

アメリカのクラリネット奏者。本名ベンジャミン・デビッド・グッドマン。貧しいユダヤ人の仕立屋の息子としてシカゴに生まれる。12歳でプロ活動を始め、1926年ベン・ポラック楽団に参加して注目された。34年に自身の楽団を結成し、ピアニスト兼作・編曲家フレッチャー・ヘンダーソンFletcher Henderson(1897―1952)の名編曲による明快な楽しい演奏で翌35年に爆発的な人気を得、スウィングジャズ大流行の口火を切り、スウィング王と称された。楽団にピアノ奏者テディ・ウィルソンTeddy Wilson(1912―86)ら黒人も加えて人種差別の壁を破った功績も大きい。また若いころからクラシック音楽にも関心をもち、バルトークコープランドの作品の初演を行うなど、この面でも世界的名声を得ている。

[青木 啓]

『ブルース・クロウサー著、大島正嗣訳『ベニー・グッドマン』(1989・音楽之友社)』


グッドマン(Paul Goodman)
ぐっどまん
Paul Goodman
(1911―1972)

アメリカの社会、文学批評家。ユダヤ系で、ニューヨークに生まれ育つ。地方分権の人間的共同体の回復を説き、またあまりにも管理されすぎた学校教育を攻撃、とくに『不条理に育つ』(1960)は1960年代の反抗する青年たちのバイブルの一つとなった。アナキストを自認し、都市計画心理療法についての共著、文学評論、小説、短編、詩、戯曲などを含め、著書は40冊に及ぶ。

[北山克彦]

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改訂新版 世界大百科事典 「グッドマン」の意味・わかりやすい解説

グッドマン
Benjamin(Benny)Goodman
生没年:1909-86

アメリカのクラリネット奏者,バンド・リーダー。〈スイングの王様〉として知られた。シカゴの貧しい仕立職人の家庭の9人兄弟の末子として生まれた。幼時からクラシック音楽の教師についてクラリネットを学び,16歳で人気バンド,ベン・ポラック楽団に入り,1930年代初めの大不況時代,ニューヨークで最も多忙なフリー・プレーヤーとなった。35年春スイング・バンドをつくり,吹込みとラジオ出演を始めたが,同年夏ロサンゼルスのパロマー・ボールルームに出演したとき,突如爆発的人気をよび,〈スイング時代〉が始まった。リズミカルで健康なサウンドは〈世直し音楽〉として全米を熱狂させたのである。また優秀な黒人プレーヤーを雇い,人種の壁を打破した最初のリーダーでもあり,クラシックの殿堂〈カーネギー・ホール〉でジャズ・コンサートを開いた最初のジャズ・ミュージシャンでもある。
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百科事典マイペディア 「グッドマン」の意味・わかりやすい解説

グッドマン

米国のクラリネット奏者,バンド・リーダー。シカゴ生れ。クラシックのクラリネット奏法を学び,10代でベン・ポラック楽団に加わる。数年後ニューヨークに出て1934年に楽団を結成,リズミカルで楽しい演奏が大衆の心をつかみ,〈スイングの王様〉と呼ばれて君臨した。
→関連項目クラリネットコープランドシカゴジャズハンプトンリー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グッドマン」の意味・わかりやすい解説

グッドマン
Goodman, Paul

[生]1911.9.9. ニューヨーク
[没]1972.8.2. ニューハンプシャー,ノースストラトフォード
アメリカの小説家,精神分析学者,社会評論家。きわめて多才かつ実験的な作家で,広範な分野で活躍し,特にアナーキズムと市民的反抗を基調にした評論活動で知られる。 1942年に小説『グランドピアノ』 The Grand Pianoを発表。その後精神分析学者としての体験をもとに,アメリカの若者が直面する矛盾を扱った『不条理に生きて』 Growing Up Absurd (1960) などの社会批評をはじめ,『フォースティナ』 Faustina (49) 以下数編の戯曲,『ゲシュタルト療法』 Gestalt Therapy (51) ,『文学の構造』 The Structure of Literature (54) などの評論,『エンパイア・シティー』 The Empire City (59) などの小説を書いた。

グッドマン
Goodman, Benny (Benjamin David)

[生]1909.5.30. シカゴ
[没]1986.6.13. ニューヨーク
アメリカのジャズ・クラリネット奏者,楽団指揮者。 13歳でプロ活動を始め,1925年ベン・ポラック楽団に参加。 34年には自己の楽団を結成,NBCラジオに定期的に出演して全米にわたる人気を獲得し,「キング・オブ・スイング」と呼ばれるにいたった。 38年にはクラシックの殿堂カーネギー・ホールで史上最初のジャズコンサートを行い,以後も常に第一線で活躍,55年にはハリウッドでその伝記映画が作られた。クラシック曲の演奏にも定評があり,交響楽団などとしばしば共演。 58,64年に来日。

グッドマン
Goodman, Nelson

[生]1906.8.7. マサチューセッツ,サマービル
[没]1998.11.25. マサチューセッツ,ニーダム
現代アメリカの科学哲学者,言語哲学者。帰納論理の理論,理論の構造や論理の簡潔性,またそのような哲学的問題とかかわる言語体系の構築などに功績があった。主著"Fact,Fiction and Forecast" (1955) 。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「グッドマン」の解説

グッドマン

正式社名「株式会社グッドマン」。英文社名「GOODMAN CO., LTD.」。卸売業。昭和50年(1975)設立。本部は名古屋市中区栄。医療機器製造販売会社。医療機材・機器の輸入・開発・製造・販売を行う。主力はカテーテルなどディスポーザブル医療用具。JASDAQ旧上場。平成25年(2013)ニプロのTOBにより上場廃止。

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世界大百科事典(旧版)内のグッドマンの言及

【ジャズ】より

…この時期に現れた天才ルイ・アームストロングは,すべての楽器奏者,歌手,編曲家に甚大な影響を与えた。そのなかでベニー・グッドマンは,大不況からようやく上向きに転じた35年,ラジオとレコードを通じて〈スウィング・ブーム〉をまきおこした。演奏そのものはアームストロングが在籍した黒人バンドを率いていたフレッチャー・ヘンダーソンJ.Fletcher Henderson(1897‐1952)の編曲をゆずりうけ,白人的なサウンドで演奏したビッグ・バンド・ジャズであったが,彼はジャズという言葉を避け,〈スウィング・ミュージックswing music〉と呼んだ。…

【ヘンダーソン】より

…とくに24年以後1年間,シカゴから天才アームストロングを入団させて体質を一変,30年代に活躍した大物は,みなこの楽団の出身者であった。大不況で解散した後,その編曲を譲り受けたベニー・グッドマンはスウィング王となった。その波に乗って再びバンドを編成したが永続きせず,グッドマン楽団の編曲者・ピアニストに雇われた。…

※「グッドマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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