グラタン(読み)ぐらたん(英語表記)gratin フランス語

精選版 日本国語大辞典 「グラタン」の意味・読み・例文・類語

グラタン

〘名〙 (gratin) 肉、魚、野菜などを、ホワイトソースであえて浅い皿に入れ、表面に粉チーズパン粉などをふり、天火で上面に焦げめがつくように焼いたもの。
※落葉日記(1936‐37)〈岸田国士〉五「マカロニのグラタンにして」

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デジタル大辞泉 「グラタン」の意味・読み・例文・類語

グラタン(〈フランス〉gratin)

肉・魚介・めん類・野菜などをホワイトソースなどであえ、焼き皿に入れ、粉チーズなどを振りかけ天火で焼いた料理

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラタン」の意味・わかりやすい解説

グラタン
ぐらたん
gratin フランス語

グラタンはフランス語のグラティネ(焦げ皮をはらせる)からきたことばとも、グラッテ(こそげる)という語からきたともいわれるが、焼き色をつけたり、皿の焦げ部分をこそげるところから名づけられた料理である。耐熱磁器・ガラスなどの浅い焼き皿に火を通した材料をソースで和(あ)えて平らに入れ、強火の天火の上段で焼き色がつくまで蒸し焼きした料理の総称である。材料は魚貝類、鳥獣肉類、野菜類、麺(めん)類など広範囲に使用される。材料によって、魚貝類のグラタン、チキングラタン、野菜のグラタン、麺類のグラタン、卵のグラタンなどがある。副材料にはキノコ類、カリフラワーなどが味の調和がよい。

 材料を和えるソースは、アマダイ、シタビラメカキ、エビ、鶏肉、カリフラワー、マカロニ、ゆで卵など味の淡泊なものには白ソース、またはおろしチーズを加えたモルネソースがよい。牛肉、羊肉などには、酸味のきいたトマトソースのほうが味の調和がよい。調味ソースが全体の味を左右するので、おいしくつくることが望ましい。

 付け合せの野菜は普通、用いないが、焼き皿の縁回りにマッシュポテトなどの裏漉(うらご)し野菜を絞り出して焼くこともある。焼き皿はグラタン皿といい、特殊な形をした耐熱磁器皿であるが、耐熱ガラス製、銀製のものもある。またパイ皮、食パンのくりぬいたもの、そのほか貝殻などを使う場合もある。調理上の注意点としては、焼いている間に水分の多く出るような材料は避ける。また魚と肉とは味があわないので、いっしょに混ぜて使わないこと。天火にはあまり長く入れて焼かないよう、強火の天火で上側に焼き色がつく程度でよい。

 グラタンは焼きたてをナプキンを敷いた受け皿にのせて勧め、熱いところを食べるのがもっとも美味である。グラタンは一般には宴会料理には用いないが、イセエビを焼き皿とするグラタンは見栄えがよいので、結婚式などの料理にしばしば用いられる。また小さくつくって、温前菜にも用いられている。

[小林文子]

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改訂新版 世界大百科事典 「グラタン」の意味・わかりやすい解説

グラタン
gratin[フランス]

本来はなべ底にこげついた食物を指す言葉で,転じて材料とソースをグラタン皿に入れ,パン粉,おろしチーズを振り,さらに溶かしバターをかけ,表面に焼き色がついた薄膜がはるまで,オーブンで焼いた料理,およびその調理法をいう。材料としては,シタビラメ,ヒラメ,エビ,カニ,カキ,ホタテガイなどの魚貝類,肉やハム類,カリフラワー,ジャガイモなどの野菜類,あるいはマカロニ,米などを用い,多くの場合ゆでたりいためたりしておく。ソースはふつうベシャメルソース(ホワイトソース)か,これに卵黄とおろしチーズを加えたモルネーソースを用いる。器は耐熱性の陶磁ないしはガラス製のグラタン皿を使うが,ときには食パンをくりぬいたものやエビの殻を使うこともある。いずれもバターをよく塗っておく。ホタテガイの貝殻や同形の器を用いた場合は,とくにコキール(貝殻のフランス語コキーユcoquilleの転)と呼ばれる。オニオングラタンと呼ばれるのは,あめ色になるまでいためたタマネギ入りのコンソメスープに,パン切れとグリュイエールチーズを加えてオーブンで焼いたものである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラタン」の意味・わかりやすい解説

グラタン
Grattan, Henry

[生]1746.7.3. ダブリン
[没]1820.6.6. ロンドン
アイルランドの政治家。 1775年以後アイルランド下院議員。アイルランドの自治を獲得する運動を提起し,貿易に対する本国政府の制限撤廃,ポイニングズ法の撤廃,アイルランドの立法上の独立に活躍。 85年イギリスのピット (小)政権によるアイルランド通商提案に反対。フランス革命勃発後,カトリック教徒解放や議会改革を主張。アイルランド合同に反対し,合同 (1801) 後はイギリスの議会でカトリック教徒解放に尽した。

グラタン
gratin

西洋料理法の一種。フランス語で焦げめをつけることをグラティネという。下調理した肉,魚介類 (生の場合もある) ,野菜,マカロニなどをソースで和えて,焼き皿に盛り,おろしチーズ,パン粉をふりかけ,バターを掛けて,天火で美しく焼上げた料理。焼く際,グラタン皿を用いるが,コキーユ (貝殻または貝殻形の皿,これを用いたときは,特にコキーユという) ,ココット (小型の鉄,アルミ,陶製の鍋あるいは,鍋型につくったずんどうの焼き皿) ,銀皿などさまざまな器を用いる。

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百科事典マイペディア 「グラタン」の意味・わかりやすい解説

グラタン

焼付料理。魚介,鳥獣肉,野菜,マカロニなどをあらかじめ加熱しておき,ホワイトソースなどのソースとあえ,上に生パン粉,粉チーズ,バターなどをかけて強火の天火で焼き,上部に焦げ皮をはらせる。普通は長円形のグラタン皿を用いるが,ホタテガイの殻(同形の器もある)に盛ったのをコキールという。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「グラタン」の解説

グラタン【gratin(フランス)】

ベシャメルソースと下ごしらえした材料(肉・魚介類・野菜・マカロニなど)を和えてグラタン皿(耐熱皿)に盛り、チーズ・パン粉を振りかけてオーブンで焼いた料理。

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世界大百科事典(旧版)内のグラタンの言及

【チーズ】より

…スイスの名物料理フォンデュはおろしたチーズを白ブドウ酒で煮溶かし,パンの小片を浸して食べるもので,エメンタールとグリュエールを使う。グラタンにはおろしチーズが欠かせないが,スパゲッティ,マカロニなども熱いところへミートソースやトマトソースをかけ,その上へ山のようにパルメザンをかけて食べる。サンドイッチではフランス風のクロックムッシューがある。…

※「グラタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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