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気体中の放電の一形式。図に示すような構造をもつ放電であり,0.01~1KPaのガス中で観測しやすい。陰極降下部がこの放電の基本部分である。ここでは陽イオンが加速される。陽イオンは陰極に衝突し二次電子をたたき出す。二次電子は加速され気体を電離して陽イオンを作り出す。陰極降下部を中心として生ずる上記の過程が平衡してグロー放電は安定に保たれる。ファラデー暗部や陽光柱を欠く場合にもグロー放電は成立する。グローを維持するための最小電圧Vcは気体と電極材料に影響され100~300V程度である。放電電流1~100mA程度のものがよく知られている。グロー放電はネオンサイン,ガス放電パネル,レーザー,薄膜形成,エッチングなどに利用されている。
なお,グロー放電は希薄な気体中で得やすいので真空放電といわれたが,現在の科学・技術水準のもとで,真空放電という言葉はより厳密な意味で使うほうがよい。
執筆者:杉沼 義隆
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低気圧放電として知られている形式で,ネオン灯,室内の放電灯,街路の高圧水銀灯などはグロー放電である.放電の外観は,放電が行われている気体の種類とその圧力によっていちじるしく変化する.グロー放電中では化学反応が起こりやすく,放電反応の研究では大きな部分を占めている.102 Pa 程度での放電の状態を図に示す.化学反応は陰極グロー部および陽光柱で主として起こる.放電の行われている空間の気体の温度はあまり高くはないが,そこに生成する電子や陽イオンと分子との作用により,たとえば窒素と水素からアンモニアの生成反応,炭化水素の分解反応など,熱反応とは異なるグロー放電に特有の反応が起こる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…このため真空技術とその応用の発展につれ,真空放電として扱う対象は歴史的に変化してきた。
[低ガス圧グロー放電]
回転ポンプを使って容易に得られる1~1000Pa程度の真空度のもとで観測しやすい現象であり,真空技術発展の初期以来慣習的に真空放電とも呼ばれてきた。直径1cm,長さ20cm程度のガラス管の両端に1対の平板電極を挿入し(ガイスラー管),約1000Paのガスを封入する。…
※「グロー放電」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」