グロー放電(読み)グローホウデン

デジタル大辞泉 「グロー放電」の意味・読み・例文・類語

グロー‐ほうでん〔‐ハウデン〕【グロー放電】

低圧気体中の冷たい電極間に起こる放電電流密度が小さいのが特徴ネオンサイン蛍光灯グローランプなどに利用

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精選版 日本国語大辞典 「グロー放電」の意味・読み・例文・類語

グロー‐ほうでん‥ハウデン【グロー放電】

  1. 〘 名詞 〙 ( グローは[英語] glow ) 真空放電真空度 1mmHg 程度の低圧気体中に起こる放電の一形式。アーク放電にくらべ、発光部の輝度や放電部の気体温度が低く、放電の電流密度が小さい。気体特有の美しい光を発し、安定した放電を持続する。ネオンサイン、キセノンランプ、スペクトル観察用の光源や各種放電管に利用される。

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百科事典マイペディア 「グロー放電」の意味・わかりやすい解説

グロー放電【グローほうでん】

気体中の放電の一形式で真空放電でよく見られる。加速された陽イオン陰極に衝突して二次電子をたたき出し,安定した放電が続くのが特徴。電子が陰極から陽極へ進む間に,陰極面近くに集まった陽イオンと再結合して発光(A:陰極光),結合しなかった電子が電場により加速(B:陰極暗部,クルックス暗部ともいう),高速電子の電離作用により発光(C:負グロー),エネルギーを使い尽くした電子が加速され(D:ファラデー暗部),以後発光と加速を繰り返す(E:陽光柱)。気体の圧力が高いとグロー放電を通り越してアーク放電になりやすい。この放電を利用した冷陰極放電管をグロー放電管といい,広義にはネオン管灯,ネオン電球などの放電灯を含む。
→関連項目計数管点灯管ネオンサイン火花放電放電放電灯

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改訂新版 世界大百科事典 「グロー放電」の意味・わかりやすい解説

グロー放電 (グローほうでん)
glow discharge

気体中の放電の一形式。図に示すような構造をもつ放電であり,0.01~1KPaのガス中で観測しやすい。陰極降下部がこの放電の基本部分である。ここでは陽イオンが加速される。陽イオンは陰極に衝突し二次電子をたたき出す。二次電子は加速され気体を電離して陽イオンを作り出す。陰極降下部を中心として生ずる上記の過程が平衡してグロー放電は安定に保たれる。ファラデー暗部や陽光柱を欠く場合にもグロー放電は成立する。グローを維持するための最小電圧Vcは気体と電極材料に影響され100~300V程度である。放電電流1~100mA程度のものがよく知られている。グロー放電はネオンサイン,ガス放電パネル,レーザー,薄膜形成,エッチングなどに利用されている。

 なお,グロー放電は希薄な気体中で得やすいので真空放電といわれたが,現在の科学・技術水準のもとで,真空放電という言葉はより厳密な意味で使うほうがよい。
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化学辞典 第2版 「グロー放電」の解説

グロー放電
グローホウデン
glow discharge

低気圧放電として知られている形式で,ネオン灯,室内の放電灯,街路の高圧水銀灯などはグロー放電である.放電の外観は,放電が行われている気体の種類とその圧力によっていちじるしく変化する.グロー放電中では化学反応が起こりやすく,放電反応の研究では大きな部分を占めている.102 Pa 程度での放電の状態を図に示す.化学反応は陰極グロー部および陽光柱で主として起こる.放電の行われている空間の気体の温度はあまり高くはないが,そこに生成する電子や陽イオンと分子との作用により,たとえば窒素と水素からアンモニアの生成反応,炭化水素の分解反応など,熱反応とは異なるグロー放電に特有の反応が起こる.

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世界大百科事典(旧版)内のグロー放電の言及

【真空放電】より

…このため真空技術とその応用の発展につれ,真空放電として扱う対象は歴史的に変化してきた。
[低ガス圧グロー放電]
 回転ポンプを使って容易に得られる1~1000Pa程度の真空度のもとで観測しやすい現象であり,真空技術発展の初期以来慣習的に真空放電とも呼ばれてきた。直径1cm,長さ20cm程度のガラス管の両端に1対の平板電極を挿入し(ガイスラー管),約1000Paのガスを封入する。…

※「グロー放電」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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