キセノンガス中の放電を利用するランプ。点灯と同時に安定な光出力が得られ、その発光は紫外域から可視域を経て赤外域にわたる連続スペクトルからなっている。とくに紫外域から可視域にかけての光はきわめて自然昼光に近似している。キセノンランプは1933年ころからドイツで研究され、1944年にシュルツPaul Schulzによって実用化された。日本では1952年(昭和27)ころから製作され、主としてフラッシュランプとして用いられた。また、1957年には高圧キセノンガスを封入したショートアークランプが発表された。
ショートアークキセノンランプは、石英管内に陽極と陰極間を数ミリメートルの間隙(かんげき)に封止し、直流で点灯する。封入キセノンガスは点灯中20~40気圧にもなる。点光源で輝度が高く、自然昼光に近く演色性がよいので、標準白色光源、映写、印刷製版、退色試験、ソーラーシミュレーターなどに用いられる。
ロングアークキセノンランプは、長形の石英管の両端に電極を封止したもので、キセノンガス圧は、1気圧程度である。一般に交流で点灯する。輝度が高く、退色試験、写真製版、投光照明などに用いられる。
キセノンフラッシュランプは直管形、螺旋(らせん)形、U形、環形などの石英管、またはガラス管の両端に電極を封止し、数十~数百トル(1トルは133パスカルの圧力)のキセノンガスが封入されている。コンデンサーに蓄積されたエネルギーをパルス的に印加して、瞬間的に放電させる。写真撮影、航空機誘導灯、レーザー励起などに使用される。
[小原章男・別所 誠]
キセノンの中での放電発光を利用する放電灯の一種。その分光分布は連続スペクトルの部分が多く,可視範囲(約380~760nmの波長範囲)において自然昼光に似たスペクトルを示す。また,点光源に近い明るい光源であり,点灯と同時に安定に発光する。
自然昼光に近い光色が得られるので,印刷用の光源や,各種の標準光源に使われ,太陽の代用として環境試験器の光源にも採用される。強い点光源となるので,映写機や拡大鏡の光源としても用いられる。高速の点滅を要するストロボの光源や航空機の誘導などの信号用光源,レーザー励起光源などに使用される。一般照明用としても,広場照明や競技場の照明,建物投光照明など主として屋外に用いられている。
執筆者:川瀬 太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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