ケアリー(Henry Charles Carey)(読み)けありー(英語表記)Henry Charles Carey

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ケアリー(Henry Charles Carey)
けありー
Henry Charles Carey
(1793―1879)

アメリカの経済学者。M・ケアリーの子。フィラデルフィアで初め出版業に従事したが、1835年に実業界から引退し、以後は経済学の研究に専心して多数の著作を著した。彼は父の保護主義の経済思想継承・発展させた。初期にはほぼ古典学派の学説にとどまったが、後期の著作では古典派経済学を批判し、「アメリカ体制」の立場にたつ経済学を完成させることになった。主著の一つ『経済学原理Principles of Political Economy全3巻(1837~40)では、価値論として再生産労働費用説を、分配論では資本家、労働者、地主の利益調和論を展開した。リカード地代論とマルサス人口論に対する批判は『過去、現在、未来』The Past, the Present, and the Future(1848)でいっそう展開されたが、彼の学説はやがて『社会科学の原理』The Principles of Social Science全3巻(1858~60)において、人間のもつ協力原理に基づきその最終的な体系化が図られた。

[田中敏弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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