茎からジュートに似た繊維を採るアオイ科の一年草。中国ではヤンマ(洋麻)という。原産地はアフリカまたはインドとされ,熱帯から温帯にかけて世界各地で栽培されている。茎は丸く,直立し,高さ2~4m,赤色を帯びることもある。葉は先のとがった卵形,掌状に3~5裂することが多い。花はアオイに似た5弁花,直径10cmほどにもなり,白黄色,中心に暗赤色のまだらがある。果実にはとげがあり,内部は5室に分かれ,各室に種子が3~5個はいる。栽培型には熱帯から亜熱帯で栽培される南方型と,温帯で栽培される北方型とがある。播種(はしゆ)後4~5ヵ月で収穫する。刈り取った茎は水に10~20日間漬けてから繊維を採る。繊維はジュートの代用として麻袋や網,ロープなどをつくり,製紙原料ともする。種子には20%ほどの油が含まれ,食用や灯火用,セッケンなどの原料とされる。また搾りかすを飼料とし,若葉は食用となる。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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アオイ科フヨウ属の一年生植物Hibiscus canabinus Lのこと.靭皮繊維は織物,ロープ,製紙原料として利用される.中国,インド,東南アジア,南・北アメリカで栽培されており,生長が早く,土壌条件を選ばないなどの特色から,靭皮部を分離することなく,全茎を利用したパルプには,製紙原料として木材に一部代替することが期待されている.
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