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ゲノム編集 ゲノムヘンシュウ

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デジタル大辞泉の解説

ゲノム‐へんしゅう〔‐ヘンシフ〕【ゲノム編集】

ゲノム上で任意の遺伝子を改変する技術。人工ヌクレアーゼというDNA切断酵素を用いて、目標とする遺伝子を破壊したり、挿入したりすることを指す。遺伝子治療や農畜産物の育種に応用する研究が進められている。

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知恵蔵2015の解説

ゲノム編集

遺伝情報を高い精度で改変する技術で、DNA切断酵素である人工ヌクレアーゼを用い、ゲノム上で特定のDNA塩基配列を標的として遺伝子を壊したり、置き換えたりするもの。2010年以降、遺伝子治療や農畜産物の育種への応用を目指して研究が急速に進められている。
人工ヌクレアーゼにより切断されたDNAは、切断部分に特定の塩基配列の末端を持ち、細胞が持つDNA修復機構により修復される。この時、切断された部分がそのままつなぎ直されれば何らの改変とならないが、機能している遺伝子領域を切断して機能を喪失させるノックアウトや、切断後に新たなDNA断片を挿入して機能を獲得させるノックインにより、ゲノムDNAを不可逆的に改変できる。
ゲノム編集にもちいる人工ヌクレアーゼは、第1世代から第3世代まで改良されている。第3世代人工ヌクレアーゼはCRISPR/Cas9(クリスパー・キャス9)と呼ばれ、標的とする約20塩基の配列に特異的に結合するガイドRNAを含むCRISPRと、特定の塩基配列でDNAを切断する制限酵素Cas9の二つのドメインからなるタンパク質複合体である。CRISPR/Cas9は、活性と利便性の点で第1世代(ZFN)や第2世代(TALENs)より優れるが、標的配列を認識する特異性の点では劣り、ガイドRNAと100%相補的でない配列でも切断して起こるオフターゲット効果が見られるため、特異性を高めることが課題となっている。CRISPR/cas9を開発した米国の化学・生物学者のジェニファー・ダウドナ、フランスの生物学者エマニュエル・シャルパンティエらは、16年のガードナー国際賞に選ばれた。
ゲノム編集の対象として、現在、様々な動物や植物細胞、ヒトを含む哺乳類培養細胞で成功例が報告されている。米国や英国では、エイズ白血病の患者から細胞を取り出し、ゲノム編集技術により遺伝子を修復する臨床研究が実施されている。受精卵を対象としたゲノム編集については、遺伝性疾患の予防などが可能になると期待される一方、デザイナーベビーにつながるとの懸念や、生命の萌芽への操作に対する倫理的な問題もある。15年12月、米英中を中心とする国際会議で、ヒトの細胞を使うゲノム編集は体細胞を基本とし、生殖細胞を使う場合は基礎研究に限り、子宮には戻さないなどの一定条件つきで容認する声明が出された。中国では、15年4月と16年4月に、それぞれ別の研究チームがヒトの受精卵の遺伝子をゲノム編集で改変したと発表。後者の研究は、子宮に戻しても育たない異常な受精卵を使用し、遺伝子を狙い通りに改変できるかどうかを評価する基礎的研究目的で実施したというが、安全性や倫理面の議論が尽くされていない中でヒト受精卵を使ったゲノム編集を実施したことへの国際的な批判がある。ドイツ、フランスは、ゲノム編集の臨床利用を法律で禁止する。日本では、16年2月、日本学術会議がゲノム編集を使った国内研究のルール作りを検討する分科会を置くことを決めたほか、内閣府の生命倫理専門調査会は同4月、ゲノム編集のヒト受精卵への応用を基礎的研究に限って容認するとの報告書をまとめた。報告書では、臨床利用については容認していないが、法的拘束力はない。

(葛西奈津子 フリーランスライター/2016年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ゲノム編集

細胞内のゲノム(全遺伝情報)の狙った箇所を、文章を書き換えるようにピンポイントで変えられる技術。1996年に最初の技術が登場し、CRISPR/Cas9は「第3世代」。変える箇所を決めるRNA分子と、はさみ役の「Cas9」と呼ばれる酵素を細胞に入れるだけで変えられる、使い勝手のよさから急速に広まった。

(2016-07-14 朝日新聞 朝刊 科学1)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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知恵蔵miniの解説

ゲノム編集

遺伝情報を高精度に改変できる技術で、ゲノムDNAを切断する酵素である人工ヌクレアーゼなどを用い、遺伝子・配列が標的にし、狙った箇所の生物遺伝子を壊したり、置き換えること。病気のモデルとなる実験用動物の作成、難病の治療や予防法の開発、農作物や家畜などの品種改良バイオ燃料の生産に適した植物の開発などに幅広く用いられている。2016年3月14日、内閣府の生命倫理専門調査会は、「ゲノム編集」を人の受精卵に適用する是非について、不妊や難病の治療方法の開発を促す可能性があるとして、基礎的研究なら「容認される場合がある」との方針をまとめることでほぼ合意した。ゲノム編集による人の受精卵改変については15年12月の国際会議では基礎研究を容認する声明がまとまるなど、日本国内でもルール作りが急務となっている。

(2016-3-18)

出典|(株)朝日新聞出版発行
(C)Asahi Shimbun Pubications Inc
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