改訂新版 世界大百科事典 「コガラ」の意味・わかりやすい解説
コガラ (小雀)
willow tit
Parus montanus
スズメ目シジュウカラ科の鳥。全長約13cm。上面は淡い灰褐色で,頭の上とのどが黒く,ほおと下面は白い。低山帯上部から亜高山帯にかけての落葉広葉樹林や針葉樹と広葉樹の混交林につがいですみ,葉や枝先から小型の昆虫類を採食する。繁殖期には,雄がチチー,チチー,チチー,あるいはチーツーチー,チーツーチーと澄んだ声で繰り返しさえずる。5~7月に,雌雄が共同で朽木に巣穴を掘るか,または天然の樹洞を利用して,巣穴の底に多量のコケ類を敷き,そこに1腹5~8個の卵を産む。地方によっては,一年中つがいでテリトリーをもって生活するが,秋から冬の間は低山帯に移動することが多く,カラ類の混群に単独かつがいで入る。この時期には,樹幹,大枝,枯枝などで昆虫類をとる。ヨーロッパからアジアの中緯度地方に広く分布する。日本では,北海道,本州,四国に留鳥として生息している。なお,北海道にはコガラによく似た別種のハシブトガラP.palustrisが分布している。
執筆者:齋藤 隆史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報