ヒガラ(その他表記)coal tit
Parus ater

改訂新版 世界大百科事典 「ヒガラ」の意味・わかりやすい解説

ヒガラ (日雀)
coal tit
Parus ater

スズメ目シジュウカラ科の鳥。全長約11cm。日本のシジュウカラ科の鳥の中ではもっとも小さい。短い冠羽をもち,頭上とのどが黒く,ほおと後頸(こうけい)は白色。下面も白い。上面は灰青色で,翼には2本の白帯がある。繁殖期には亜高山帯針葉樹林落葉樹針葉樹混交林にすみ,雄は高木のこずえに止まり,ツツピンツツピンと早口に繰り返してさえずる。5~6月に,天然の樹洞を巣孔とし,コケ類を使って皿形の巣をつくり営巣する。産座には羽毛や獣毛を敷いて,1腹7~9個の卵を産む。秋から冬には低山帯に下るが,シジュウカラより移動が少ない。群れをつくって生活するが,カラ類の混群に入っていることが多い。混群の中では,樹冠部を活発に動き回って採食する。おもに針葉樹の葉間から,体の割りには細くて長いくちばしで,小型の昆虫類をつまみ出したり,球果の中から種子を引き出して食べる。チーチーとよくとおる細い声で鳴く。ユーラシア大陸の温帯亜寒帯分布し,日本では北海道から屋久島まで留鳥として生息する。
シジュウカラ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒガラ」の意味・わかりやすい解説

ヒガラ
Periparus ater; coal tit

スズメ目シジュウカラ科。全長 11cm。背面は灰青色で頭部と喉が黒く,頭上には短い冠羽(→羽冠)がある。頬と後頸中央は白い。腹面は白色で,に 2本の白帯がある。ユーラシア大陸の温帯寒帯に広く分布し,針葉樹林針広混交林にすむ。日本では北海道から鹿児島県の屋久島までの山地帯から亜高山帯で繁殖し,冬季には標高の低い場所にも移動して越冬する。冬季にエナガキクイタダキシジュウカラなどといっしょに群れをつくって,枝から枝へ移りながら餌をあさる。「つぴんつぴん」と早口にさえずる。

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百科事典マイペディア 「ヒガラ」の意味・わかりやすい解説

ヒガラ

シジュウカラ科の鳥。翼長6cm。色彩はシジュウカラに似るが,背は青灰色。小さな冠羽がある。ユーラシア大陸中部に分布し,日本では留鳥として全国の山地の林に分布繁殖する。特に針葉樹林に多い。木の穴などに営巣し,おもに昆虫,クモ等を食べる。ツピン,ツピンと細い声でさえずる。秋冬には平地に漂行し,シジュウカラコガラなどと混群を作ることが多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒガラ」の意味・わかりやすい解説

ヒガラ
ひがら / 日雀
coal tit
[学] Parus ater

鳥綱スズメ目シジュウカラ科の鳥。全長10センチメートルの小形種で、背面は灰青色、腹面は淡黄色、頭部は黒く頬(ほお)に白い大紋がある。黒い冠羽をもち、ときどき逆立てる。ユーラシアとアフリカ北部に分布する。日本では九州以北に生息し、山岳地帯の針葉樹林に多いが、落葉広葉樹林にもいる。冬は低地の松林、杉林などに降りてくる。樹木の枝先や葉の部分で虫を探して食べるが、秋や冬には果実、種子も食べ、松の豊作時には大集合をつくる。また、種子の貯蔵が知られている。繁殖期には強い縄張り性を示し、つがいで樹洞、巣箱に巣をつくる。

[中村登流]


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