凸レンズまたは球面(厳密には放物面)反射鏡の焦点の位置に点光源を置くと,レンズを透過する,または反射鏡で反射する光は平行光になる。これを実現する器具がコリメーターで,図a,bに示すように,レンズまたは反射鏡から焦点距離fだけ離れた位置に小孔(ピンホール)が置かれた配置をもっている。いま,図に示した位置に光源を置くと,光源で照明された小孔が二次光源となってコリメーターから出る光は平行光になる。図bにおいて小さな反射鏡で光の進行方向を90度変えているのは,平行光が光源で遮断されるのをできるだけ少なくするためである。また光源からの光線束を有効に利用するため,光源と小孔の間にもう一つレンズを入れ,小孔に光を集光させることもある。得られる平行光の角度広がりθは,レンズの口径による光の回折の影響を無視すれば,θ=d/2f(dは小孔の直径)で与えられ,dが小さいほど質のよい平行光が得られる。
また,例えば図の紙面内だけで質のよい平行光が得られればよい場合は,長さ方向が紙面に垂直な幅の狭い開口(スリット)を小孔の代りに使用する。
執筆者:田中 俊一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
点光源から発散する光束を平行光束に変える装置。視準器または視準儀ともいう。望遠鏡の対物レンズまたは対物鏡が用いられる。望遠鏡では無限遠からの平行光束を1点に集光させるが、コリメーターはその逆の作用をする。レンズ・コリメーターでは用途に応じて色消しレンズがそのまま用いられる。凹面鏡を用いるときは光源位置が平行光束の中にくるから、小口径の平面鏡を用いて平行光束の外に置いた点光源から光を送り込む(逆ニュートン式)か、あるいは凹面鏡に軸外放物面鏡を用いるなどのくふうを要する。分光器のコリメーター、子午環(しごかん)などで望遠鏡の視準軸を決めるのに用いられるコリメーター、レンズや鏡の製作時の面の検査、あるいはレンズや鏡の使用時の光学軸の調整など多方面の用途がある。検査器具としては、平行光束を鏡などで反射させコリメーター自身で観察するが、これをオート・コリメーターという。
[山下泰正]
平行光線や平行粒子線をつくる装置.光学器械や天体望遠鏡が対象とする光線に対してばかりでなく,原子核反応用の粒子線に対してしゃへい体を使ってつくられる装置もコリメーターという.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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