フランスの詩人。ブルターニュの海岸地方に生まれる。船乗りで海洋冒険小説家の父の影響で早くから海にあこがれるが、中学時代リウマチにかかり、夢を断たれる。この挫折(ざせつ)感が自らの醜貌(しゅうぼう)への過剰な意識と重なり、屈折の多い複雑な心理を形成していった。詩作品は1873年にパリで自費出版された『黄色い恋』にまとめられているが、このなかで自らを犬、ひきがえる、蛇などに擬して永遠の女性の愛を請い、海の冒険の見果てぬ夢を追い、生の倦怠(けんたい)と孤独を歌い、ことば遊びと醒(さ)めたユーモアで自嘲(じちょう)を繰り返した。コルビエール没後の83年、ベルレーヌが雑誌『リュテス』で「呪(のろ)われた詩人たち」の一人としてその詩業を紹介する。のち、シュルレアリストのブルトンは「睡眠への連祷(れんとう)」を自動書記の先駆的作品と評価した。
[遠山博雄]
『福井芳男他編『フランス文学講座3 詩』(1979・大修館書店)』
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