コングリーブ(読み)こんぐりーぶ(英語表記)William Congreve

デジタル大辞泉 「コングリーブ」の意味・読み・例文・類語

コングリーブ(William Congreve)

[1670~1729]英国劇作家王政復古期の上流社会を軽妙に描いた風俗喜劇代表者。作「世の習い」など。

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精選版 日本国語大辞典 「コングリーブ」の意味・読み・例文・類語

コングリーブ

  1. ( William Congreve ウィリアム━ ) イギリスの劇作家。王政復古期の上流階級応接間舞台に、軽妙洒脱な都会的風習喜劇を書いた。作品に「浮世習い」「老独身者」など。(一六七〇‐一七二九

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コングリーブ」の意味・わかりやすい解説

コングリーブ(劇作家、詩人)
こんぐりーぶ
William Congreve
(1670―1729)

イギリスの劇作家、詩人。軍人の子としてリーズ近郊に生まれ、父の転属に伴ってアイルランドに移る。ダブリンのトリニティ・カレッジに学び、スウィフトと交わる。1688年イギリスに戻り、しばらく法律を学んだのち、小説『名を秘めた女』(1692)によって文壇に登場、ついで劇作に転じ、喜劇『独身の老人』(1693)によって好評を博した。その後、喜劇『二枚舌の男』(1693)、同『恋には恋を』(1695)、悲劇『喪に服する花嫁』(1697)を発表したが、喜劇『世の習い』(1700)が不評を被ったため、劇壇から事実上退いた。この間、いくつかの官職にもついたが、晩年は悠々自適の生活を送った。彼は詩や喜劇論も書いているが、もっとも高く評価されている作品は、王政復古期に始まるイギリス風習喜劇の伝統を継いだ上記の喜劇四編である。これらはいずれも社交界の風俗、とくに男女関係と財産をめぐる争いとを凝った比喩(ひゆ)や格言をちりばめた文体で機知豊かに描いたもので、とりわけ『世の習い』は風習喜劇の洗練を極めたものとされるが、筋があまりに複雑であるため批判されることもある。

[喜志哲雄]

『『福原麟太郎著作集8 評伝・コングリイヴ』(1969・研究社出版)』


コングリーブ(軍事技術者)
こんぐりーぶ
William Congreve
(1772―1828)

イギリスの軍事技術者。ロンドンの造兵工廠(こうしょう)に勤めていたが、19世紀初めに、従来の固体燃料ロケットに、いわゆる安定棒に加えて弾体に「ひれ」をつけてその実用性を高めた。このコングリーブ・ロケットは1807年のコペンハーゲン攻撃で成功を収め、続いてブローニュの戦いや、アメリカのポトマック川での戦いでも大きな戦果をあげた。

[新羅一郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「コングリーブ」の意味・わかりやすい解説

コングリーブ
William Congreve
生没年:1670-1729

イギリスの劇作家。王政復古期における喜劇を代表する作家の一人。《独身の老人》《二枚舌の男》(ともに1693初演),《愛には愛を》(1695初演),《世の習い》(1700初演)の喜劇4編は,いずれも当時の社交界の男女関係を機知に富み洗練された文体で描いたものである。特に,過度の知性をそなえた男女の恋のかけひきを扱う《世の習い》は,イギリス風習喜劇の最高傑作の一つとされる。他方,彼の喜劇は筋の複雑さや人工性のゆえに批判されることも多い。他の作品には,散文ロマンス《名を秘めた女》(1692),当時は評判がよかったが今では顧みられない悲劇《喪に服する花嫁》(1697初演),喜劇論,詩などがある。コングリーブはヨークシャーに生まれ,ダブリンのトリニティ・カレッジ,次いでロンドンの法学院で学んだ。劇作家時代には当時の代表的俳優たちと親交があり,彼の作品に何度も出演した名女優アン・ブレースガードルを愛人にしていたこともある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コングリーブ」の意味・わかりやすい解説

コングリーブ
Congreve, William

[生]1670.1.24. ヨークシャー,リーズ近郊
[没]1729.1.19. ロンドン
イギリスの劇作家。風習喜劇の代表的作者。ダブリンで学んだのち,ロンドンへ出て法学生となるが,文学の道に進む。戯曲の処女作『老独身者』 The Old Bachelor (1693) で好評を博し,続いて『二枚舌』 The Double Dealer (94) ,『愛には愛を』 Love for Love (95) によって地位を確立。最後の『世の習い』 The Way of the World (1700) は,発表当時は不評だったが,現在では風習喜劇の最高傑作の一つと認められる。彼の特色は機知に富んだ精妙なせりふによる人間描写にある。ほかに悲劇,小説,詩などもある。晩年は社交界の名士として悠々自適の生活をおくった。

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百科事典マイペディア 「コングリーブ」の意味・わかりやすい解説

コングリーブ

英国の劇作家。《世の習い》(1700年)や《二枚舌の男》《愛には愛を》などの戯曲によって王政復古期の上流社会を軽妙に描写する〈風習喜劇〉の代表作家である。《喪に服する花嫁》はただ一つの悲劇。

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世界大百科事典(旧版)内のコングリーブの言及

【永久機関】より

…液体を利用するものとして毛管現象を利用するものもあった。有名なのはコングリーブWilliam Congreve卿(1772‐1828)の考案で,海綿製のベルトと重量物でつくったベルトを重ねて斜めに二つの滑車に掛け,下半分を水中に置く方式であった。磁気を利用するものとしては,13世紀にP.deマリクール(ペトルス・ペレグリヌス)が永久に針が回転する装置を図に描いているほか,カルダーノが磁気を利用した永久機関の可能性を示唆したことをアントニウス・デ・ファンテスAntonius de Fantesが記しているが,これについてはW.ギルバートが実験ぬきの思いつきにすぎないと批判している。…

【ロケット】より

…以後18世紀までの間,フランス,オランダ,ドイツなどヨーロッパ各地で徐々に発展を遂げ,とくにフランスは多くの戦争でロケットを用いたが,また多くの国で花火としても利用された。19世紀になるとイギリスのコングリーブWilliam Congreve(1772‐1828)の作ったロケット弾がヨーロッパ各地やアメリカでの戦争に用いられ,それなりの威力を発揮したが,その後兵器としてのロケットは大砲の射程がのびるに従い見限られることとなる。 一応このように固体ロケットは10世紀にわたる歴史をもつが,一方,液体ロケットは実に19世紀もまさに終わらんとするころ,パリに留学していたペルー人ポーレP.A.Pauletが推力100kgfのロケットを実験したのがそもそもの始まりといわれる。…

※「コングリーブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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