コンドロイチン(読み)こんどろいちん(その他表記)chondroitin sulfate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンドロイチン」の意味・わかりやすい解説

コンドロイチン
こんどろいちん
chondroitin sulfate

多糖類の一種。おもに関節軟骨角膜および皮膚などの結合組織に多く含まれ、結合組織に弾力性をもたせる物質である。正式にはコンドロイチン硫酸という。この物質は加齢に伴って徐々に体内から失われ、結果として関節痛老眼、皮膚のしわなどさまざまな現象をもたらす。たとえば、関節軟骨が薄くなる、消失するなどの退行変性をもたらし、軟骨破壊による骨どうしの摩擦で、骨軟骨が再増殖して関節が変形する変形性関節症などにより、関節運動が妨げられ関節痛を起こす。同じく、目の角膜をはじめ水晶体や硝子体(しょうしたい)のコンドロイチンが失われることで、角膜による光の屈折、水晶体による焦点あわせなどの機能に変化が生じ、老眼となる。

 また、コンドロイチンは、皮膚の表皮と真皮の間にプロテオグリカンとして存在し、皮膚の保湿や弾力をもたせる役割をしているが、コンドロイチンと水分が失われることで、表皮にある皮溝が真皮側に深く入り込み皮膚のしわとなってみられるようになる。このようにコンドロイチンは加齢現象を防止することと密接な関係にある。食物からの摂取が可能で、納豆オクラ山芋ウナギ、フカヒレ、スッポンカツオマグロなどに多く含まれている。また、コンドロイチンを配合した医薬品サプリメント化粧品なども販売されている。

[編集部]

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化学辞典 第2版 「コンドロイチン」の解説

コンドロイチン
コンドロイチン
chondroitin

ウシの角膜,スルメイカやマダコなど頭足類の皮から単離されたグリコサミノグリカン図示したようにN-アセチル-D-ガラクトサミンとD-グルクロン酸とが,β-グリコシド結合したN-アセチルコンドロシンのポリマー.一般に,動物組織では硫酸含量の異なるコンドロイチン硫酸が分布しているが,コンドロイチンとは硫酸化率がとくに低い(ガラクトサミンの40~70%)ものである.コンドロイチン硫酸を脱硫酸化すると得られる.ヒアルロニダーゼやコンドロイチナーゼなどの酵素で分解される.-30°(水).[CAS 9007-27-6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「コンドロイチン」の解説

コンドロイチン【chondroitin】

水溶性食物繊維のひとつ。粘液物質のムコ多糖類の一種で、関節の軟骨・じん帯・血管壁・角膜などの結合組織の構成成分。海藻類、納豆、オクラ、フカヒレ、スッポンなど、主にネバネバした食材に多く含まれる。関節軟骨の約27~43%を占め、全身の関節を柔軟に動かすための重要な役割をもつほか、組織の保水性・弾力性の維持、変形性関節症・関節炎の予防・改善、皮膚炎の予防・改善、高血圧・動脈硬化の予防などに効果が期待できる。◇コンドロイチンは、ギリシア語で「軟骨」という意。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「コンドロイチン」の解説

コンドロイチン

軟骨、結合組織、粘液などに含まれるムコ多糖類「コンドロイチン硫酸」「コンドロイチン硫酸ナトリウム」の通称。関節痛や神経痛を軽減する作用があり、医薬品のほかサプリメントなどに含有。

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栄養・生化学辞典 「コンドロイチン」の解説

コンドロイチン

 動物の軟骨,皮膚などに存在するアミノ糖,ウロン酸,酢酸および少量の硫酸からなる多糖,グルコサミノグリカン.コンドロイチン硫酸を脱硫酸すると得られる.

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