トウモロコシの穀粒からとったデンプン。トウモロコシを亜硫酸液に浸し、柔らかくなったところで粗挽(あらび)きし、胚芽(はいが)分離機にかけて、デンプン、タンパク質、繊維質の混合物と、胚芽とに分ける。混合物はさらに摩砕し、篩(ふるい)にかけて繊維質を除く。デンプンとタンパク質の混合物は、テーブル(とい)に流すか、遠心分離機でデンプンとタンパク質に分ける。デンプンは、水中に浮遊しているものを沈殿させて集め、脱水したあと乾燥する。これがコーンスターチである。コーンスターチ製造の際の副産物としては、胚芽からコーンオイル、タンパク質からグルテンミール、トウモロコシの浸漬(しんし)液を濃縮したものからコーンスティープリカー、コーンオイルを絞ったかすと原料トウモロコシの皮などからグルテンフィードが得られる。コーンオイルは良質のサラダ油として、コーンスティープリカーは抗生物質製造などの培養液として、グルテンフィード、グルテンミールは飼料に用いられる。コーンスターチは各種デンプンのなかでも純度が高く、純白、無臭である。またデンプン粒子がきわめて細かい。粘度は安定し、粘度が高くないわりに接着力は強いのが特徴である。このような優れた面をもつため、ブラン・マンジェをはじめ製菓、料理用のほか、てんぷら粉、即席カレールウ、ビスケット、シュークリーム、アイスクリーム、かまぼこなどの水産練り製品、魚肉ハムやソーセージ、クリームスープ、野菜缶詰の粘稠(ねんちゅう)剤、さらにビール、水飴(みずあめ)、ブドウ糖など、食品工業用にも広く利用されている。繊維工業、接着剤用、製紙などにも役だっている。
[河野友美・大滝 緑]
トウモロコシからつくる純度の高いデンプン。純白無臭で,粒子がこまかくそろっており,吸湿性が低く,糊化(こか)したあとの粘度の変化が少ない。これらの性質を利用して食品の増粘剤,安定剤として,ケーキ,アイスクリーム,ソース,スープなどの菓子や料理に用いられ,また,水産練製品やソーセージの製造にも使われる。繊維工業,製紙工業などにおける糊料としての利用度も高い。
執筆者:平野 雄一郎
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…この工程の特徴は,トウモロコシを亜硫酸水に浸漬した後に,すべての処理を液中で行い,デンプン,タンパク質,胚芽,外皮をそれぞれ純粋な形に分離してゆく点にある。ウェットミリングの主製品はコーンスターチ(トウモロコシデンプン)であるが,副産物としてコーンサラダオイル,醸造用・飼料用タンパク質のグルテンミール,飼料用のグルテンフィード,微生物の培養基に用いるコーンスティープリカーなどが得られる。現在日本で生産されているデンプンの70%以上が,アメリカ,南アフリカから輸入されたコーンスターチである。…
…ウィスキーの原料にもする。しかし,現在は主として成熟粒からデンプン(コーンスターチ)を採り出し,かまぼこやソーセージなどの練製品や菓子類など加工食品の原料とし,また,ビールなどの醸造原料にも利用し,糖化して甘味料にもする。コーンスターチは工業原料としての利用も多く,のり(糊)として製紙や織物工業に使われる。…
※「コーンスターチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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