イスラエル北部とシリア南部に広がる丘陵地帯で、レバノンやヨルダンに接する。重要な水源地で、イスラエルが1967年の第3次中東戦争で大半を占領した。73年の第4次中東戦争後、74年の停戦協定で非武装地帯(DMZ)が設置された。国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)が監視する。自衛隊も一時参加していた。イスラエルは81年に自国への併合を宣言し、2019年に当時のトランプ米政権がイスラエルの主権を承認したが、国際的には認められていない。(共同)
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シリアの南西部クネイトラ県に存在する平均標高約1000m,面積約1750km2の台地。アラビア語でal-Jawlān。ヘルモン山の南麓に位置し,シリアのハウラーン平野とイスラエルのティベリアス(ガリラヤ)渓谷を支配する戦略的に重要な地点。ローマ時代にはガウラニティスGaulanitisと呼ばれ,バグダード,ダマスクスと地中海沿岸を結ぶ隊商路であった。7世紀アラブに征服され現在のアラビア語名がつけられた。1916年のサイクス=ピコ協定でシリア領となる。48-49年の第1次中東戦争以後はシリアの軍事要塞となる。67年の第3次中東戦争以後イスラエルによって占領されている。人口は67年の戦争前は約4万,この戦争によりイスラム教徒の大半が移動し,71年推定で約5000~6000(おもにドルーズ教徒)となる。イスラエルの入植は1968年に開始され,73年までに入植村17が建設された。73年の第4次中東戦争後イスラエルの入植活動はさらに活発となり,81年には事実上併合状態となった。90年までには,さらに35の入植村が建設され,ユダヤ教徒の数は約1万3000人となった。これに対しシリア人は約1万6000人で6ヵ村に住んでいる。シリアは,現在も,ゴラン高原の全面返還という基本姿勢を変えていないが,イスラエルはここにイスラエル政府の行政支配権を確立しようと目論んでいる。
執筆者:木村 喜博
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(高橋和夫 放送大学助教授 / 2007年)
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シリア南西部の台地。シリアの軍事要塞があったが,1967年第3次中東戦争でイスラエルが占領した。シリアは全面返還を要求しているが,イスラエルは入植を強行,81年にはイスラエルの国内法を適用し,事実上併合した。しかし,この併合は国際社会では認められていない。現在の住民はユダヤ人とドルーズ派。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
シリア南西部の高原。アンティ・レバノン山脈の南の延長部に位置し、標高1000メートル前後、西はヨルダン地溝帯、南はヨルダン川支流のヤルムーク川でくぎられる。山地の西斜面にあるため比較的湿潤で、小麦などの農業が発達し、居住密度も高い。1948~49年の第一次中東戦争以後、シリアのイスラエルに対する防衛要塞(ようさい)となったが、67年の第三次中東戦争以後イスラエルに占領されている。
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