イギリスの人類遺伝学者。バーミンガムに生まれ、バーミンガム病院、キングズ・カレッジ、ケンブリッジ大学などで学んだ。20代から30代にかけて、スーダンその他の西南アフリカ地方の探検旅行を行い、また30代には北スペインを訪ね、それらの旅行記を著した。その後、気象学の研究に転じたが、進化論で有名な、母方のいとこのC・ダーウィンの『種の起原』に刺激されて、人類遺伝学の研究を始め、統計学をヒトの量的形質の遺伝に適用した研究を行った。また人類の遺伝的改良に熱意をもち、自身が1883年に優生学eugenicsと名づけた学問分野の創始者となった。後年、私財を投じてつくった、ロンドン大学の優生学研究室は、その後、ゴルトン研究室とよばれて、1996年に生物学科の一部となった。
ヒトの身長や才能などの計量的形質に統計学を適用して行った遺伝の研究から、今日統計学の分野で重要な、回帰や相関の概念を生み出すなど、生物統計学の基礎を築いた。彼が協力者とともに始めた、生物統計学の学術雑誌『Biometrika』(1901年創刊)は、生物統計学、計量統計学、数理統計学などの分野の由緒あるもっとも重要な雑誌の一つとして今日まで続いている。
[井山審也]
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