コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ゴンクール兄弟 ゴンクールきょうだいFrères Goncourt

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ゴンクール兄弟
ゴンクールきょうだい
Frères Goncourt

(兄) エドモン・ド  Edmond (Louis Antoine Huot) de   1822.5.26. ナンシー~1896.7.16. セーヌエオアーズ,シャンロゼー 
(弟) ジュール・ド  Jules (Alfred Huot) de   1830.12.17. パリ~1870.6.20. パリ 
フランスの作家兄弟。父はナポレオン軍の士官。兄弟の密接な協力のもとに,フランス 18世紀の社会,風俗に関する詳細をきわめた研究ののち,複雑微妙な当代の人間生活の全貌を,練り上げた文体で綿密かつ客観的に描き出すという彼らの理想に基づいて『ルネ・モープラン』 Renée Mauperin (1864) ,『ジェルミニー・ラセルトゥー』 Germinie Lacerteux (64) ,『マネット・サロモン』 Manette Salomon (67) など多くの自然主義的小説を著わした。弟の死後エドモンが刊行した『北斎』 Hokousaï (96) などの浮世絵の研究は,ことに様式化の技巧について近代ヨーロッパ美術に影響を与えた。彼らの文学生活の記録『日記』 Journal (87~96,完本は 1956~58刊) は,兄弟の辛酸をきわめた執筆生活の記録として,また当時の文人,芸術家,風俗の資料としても興味深い。エドモンの死後,彼の遺言により,兄弟の遺産を基金とするアカデミー・ゴンクールが 1902年設立され,ゴンクール賞を授与している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ゴンクールきょうだい【ゴンクール兄弟】

エドモンEdmond Louis Antoine de Goncourt(1822‐96),ジュールJules Alfred Huot de G.(1830‐70)の兄弟で,つねに一体となって制作したフランスの作家。最初は歴史,とくに18世紀フランスの歴史を研究し,《大革命期のフランス社会史》(1854),《18世紀の芸術》(1859‐75),《18世紀の女性》(1862)などを著した。彼らの関心は歴史理論にでなく,資料の発掘・収集,風俗の研究に向けられた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のゴンクール兄弟の言及

【自然主義】より

…すなわち,19世紀前半のロマン主義に対する反動としておこった写実主義の思想を受け継ぎながら,現実を支配する自然的・物質的条件をいっそう重視し,生物学的人間観を強く打ち出したのが自然主義であるということになる。写実主義の文学傾向が自然主義理論を得るに至る流れのなかで,事実上,自然主義成立を準備する役割を果たした作家がゴンクール兄弟である。事実記録や文献資料によって小説に完ぺきな客観性を与えようと努めたこと,人間心理を生理学的に解き明かそうという姿勢をとったことなどによって,ゴンクール兄弟は一面においてすでに自然主義の作家であったとみることもできよう。…

【写実主義】より

…フローベール自身は写実主義派の文学理論や実作に強い嫌悪の念を抱いていたにもかかわらず,《ボバリー夫人》以下の諸作によって,この作家は写実主義文学の真の巨匠とみなされるに至り,後の自然主義の作家たちからも先駆者と仰がれることになった。同じ時期,ゴンクール兄弟は,事実の記録と文献資料によって小説の客観性をつらぬきながら,きわめて技巧的な文体を駆使して,多くは病理学的な異常性を持った人間像を描きだし,独特の写実主義小説を作りだした。記録や資料の重視,人間心理の動きに生理学的な裏づけを与えようとする姿勢などによって,ゴンクール兄弟はすでに自然主義への道に踏みだしかけた作家であるといえる。…

※「ゴンクール兄弟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

ゴンクール兄弟の関連キーワードドーデ(Alphonse Daudet)ジョルジュ シャルパンティエジェルミニー・ラセルトゥージェルミニーラセルトゥーリアリズム[文学]シャルパンティエオリエンタリズム自然主義(文芸)モンマルトルツルゲーネフ第三共和政写実主義ヘッベル日記文学フェドー印象主義印象批評ルモニエフィガロドーデ

今日のキーワード

偽計業務妨害罪

虚偽の風説を流布し,または偽計を用いて人の業務を妨害する罪 (刑法 233) 。流布とは,犯人自身が公然と文書,口頭で伝達するほか,口伝えに噂として流す行為も含む。偽計とは人を欺罔,誘惑し,あるいは人...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android