ゴート人(読み)ゴートじん(その他表記)Gothi; Gothen; Goths

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴート人」の意味・わかりやすい解説

ゴート人
ゴートじん
Gothi; Gothen; Goths

ゲルマン民族の一部族。定住ウィスワ川河口から 2世紀後半に黒海方面へ移動を始め,黒海北部 (今日のウクライナ) に居住したものを東ゴート人,黒海北西部 (ドナウ川ドネストル川の両河間の地域) に達したものを西ゴート人という。
(1) 東ゴート人 部族国家エルマナリック王のとき全盛に達したが,375年フン民族征服された。フン民族の王アッチラ死後,457年に独立し,ローマ人の同盟者となった。その後テオドリック大王は東ゴート人を率いてイタリアに入り,ゲルマンオドアケルを破って,493年イタリア半島全域を征服,東ゴート王国を建設した。しかし大王の死後,王位をめぐる内紛などで 555年滅亡。
(2) 西ゴート人 376年フン民族に追われてローマ領内に入り,バルカン半島を奪い,378年アドリアノープルの戦いで東ローマ軍を破り,382年モエシアに定住,ローマ人の同盟者となった。ギリシア,イタリアを経て 415年ヒスパニアイベリア半島)に入り,西ゴート王国を建設。475年エウリック王のときヒスパニアの大半を領有,ローマからの完全独立を宣した。711年北アフリカから侵入してきたイスラム教徒によって滅亡させられるまでヒスパニア支配権を保持。西ゴート諸王はローマ系住民とゴート人との融和に努め,ローマ,ゲルマン両法の要素を合わせた『西ゴート法典』編纂は画期的な業績であった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ゴート人」の解説

ゴート人
ゴートじん
Goths

ゲルマン人の一部族
黒海北岸からドナウ川下流北岸に居住していた東ゲルマン一族で,フン族西進に押されて西ゴート族ローマ帝国に侵入し(375),民族大移動の発端となった。さらに西進した西ゴート族は,イベリア半島に西ゴート王国を建国(415),東ゴート族もフン族から独立してイタリアに侵入し,東ゴート王国(493)を建てた。

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