サイケデリック(読み)さいけでりっく(英語表記)psychedelic

翻訳|psychedelic

デジタル大辞泉 「サイケデリック」の意味・読み・例文・類語

サイケデリック(psychedelic)

[形動]LSDなどの幻覚剤によって生じる幻覚陶酔状態を想起させるさま。1960年代後半、そのような、原色を駆使した美術ロック音楽が流行した。サイケ。「サイケデリックファッション

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「サイケデリック」の意味・読み・例文・類語

サイケデリック

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( [英語] psychedelic ) LSD、メスカリンなどの幻覚剤によっておこる、幻覚や陶酔の状態に似ているさま。また、その状態を色、形、音などによって再現した絵画、デザイン、映像、音楽などの表現についてもいう。サイケ。
    1. [初出の実例]「この純日本風の部屋うちから、サイケデリックなレコードが流れ出し」(出典:華々しい女(1968)〈邦光史郎〉二)

サイケデリックの補助注記

日本では一九六〇年代後半に使われた流行語

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイケデリック」の意味・わかりやすい解説

サイケデリック
さいけでりっく
psychedelic

語源的には心を明らかに表すという意味。1943年スイスの化学者ホフマンAlbert Hofmann(1906―2008)が偶然に発見したLSDという薬品統合失調症精神分裂病)の幻覚と類似の幻覚体験をもたらしたので、あたかもこれが人間の無意識を表しているかのように考えられたことから、こうした人工的につくられた幻覚が無意識的な心を表しているという意味でサイケデリックという。この種の幻覚を誘発するものは、このほかに大麻(たいま)、メスカリンなどがある。これらの薬物は、いずれも知覚、認識に影響を与えるもので、心の深層を現すものであるかのようにみなされている。

 なお、LSD、メスカリンといった薬物によっておこされる幻覚に関連のある芸術のことを、1960年代にはサイケデリック・アートpsychedelic artと総称するようになり、一時アメリカで流行した。しかしその後は、電子技術を使ってつくられる光・音などによって創作されるグラフィック音響効果のことをさすようになった。従来の絵画は視覚的で静止しているが、サイケデリック絵画といわれるときは、運動的・聴覚的効果をも包括している。

[外林大作・川幡政道]

『レスター・グリンスプーン、ジェームズ・B・バカラー著、杵渕幸子・妙木浩之訳『サイケデリック・ドラッグ――向精神物質の科学と文化』(2000・工作舎)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「サイケデリック」の意味・わかりやすい解説

サイケデリック
psychedelic

幻覚剤(おもにLSD)を服用した精神状態。一般に〈サイケ〉と呼ばれる。ギリシア語のpsychē(精神,魂)とdēlos(目にみえる,明らかな)または英語のdelicious(美味な)の合成語とされる。1960年代前半にアメリカにおいてT.リアリーやK.キージーがLSDによる意識変革を提唱したのをうけて,65年ころサンフランシスコ,ロサンゼルスなどで幻覚剤による酩酊状態の中で行うロック演奏が盛んに試みられるようになり,それをサイケデリック・ロックと呼んだ。代表的な演奏グループはザ・バーズ,グレートフル・デッドなど。その演奏には幻覚効果を助長するような照明を伴い,また彼らの演奏会のポスターやレコードジャケットは原色を曲線的に組み合わせた独特のデザインがなされるなど,音楽領域だけにとどまらぬサイケデリック文化ともいうべきものを,60年代後半のアメリカ西海岸に開花させた。しかしいずれも70年代に入るとともに下火となった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「サイケデリック」の意味・わかりやすい解説

サイケデリック

LSDなどの服用によって幻覚状態にあること。その際に経験する幻覚と同様な,原色的で刺激の強い絵画,音響などもさす。これは1965年ごろから1970年ごろに感覚的陶酔を求める若者の間で盛んになった。psychedelicはギリシア語のプシュケ(精神)とデロス(見える)からできた語で,精神拡大,精神展開とよぶこともある。
→関連項目ドアーズピンク・フロイドマックス

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android