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サッカロース(英語表記)saccharose

翻訳|saccharose

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

サッカロース
さっかろーす
saccharose

ショスクロースsucroseともいい、D-グルコースとD-フルクトースからなる二糖類の一種。光合成能力のあるあらゆる植物にみいだされ、とくにサトウキビ、サトウダイコンに多い。サトウキビではその汁液の20%を、サトウダイコンでは15%を占めているので、これらはサッカロースの工業的原料となっている。ほかにサトウモロコシ、サトウカエデの樹液にも多く含まれている。サッカロースの工業的製法は、次のプロセスによる。サトウキビの茎を短く切断し、圧搾によって汁液を分離する。サトウダイコンを原料とするときは、80℃の湯で抽出する。この汁液は酸性なので石灰乳を加えて中和後、加熱によりタンパク質その他の不純物を凝固させ、濾過(ろか)により除去したのち、蒸発濃縮を繰り返す。過飽和に達すると結晶が析出してくるが、ここで得られる粗糖は着色しており、純度も低いので、さらに脱色、不純物の除去、再結晶を行い、精製糖を得る。化学的合成は、グルコースとフルクトースのアセチル誘導体から合成できるが、収率は5.5%と低い。
 サッカロースは次のような性質をもつ。
(1)物理的性質 白色、単斜晶系結晶で、甘味を有する。サッカロースの甘味度を1.0とすると、ブドウ糖が0.6、麦芽糖が0.5~0.6、果糖が1.0~1.5、乳糖が0.3である。融点は185℃。約200℃で褐色、非結晶質の構造不明のカラメルとなる。旋光度はプラス66。水によく溶け、12.5℃で、100ミリリットルの水に約200グラム溶ける。メタノール(メチルアルコール)に溶けやすく、95%エタノール(エチルアルコール)には溶けにくい。また、エーテルには溶けない。
(2)化学的性質 D-グルコースとD-フルクトースとが、還元基どうしで結合しているので非還元性。酵母により発酵する。希酸またはスクラーゼ(ショ糖分解酵素、サッカラーゼともいう)により加水分解を受けて、等量のD-グルコースとD-フルクトースとを生成する。このとき、旋光度は右旋性(+)から左旋性(-)に変わる。すなわち、旋光度がプラス66から、マイナス20に変わる。このことを転化といい、分解混合物は転化糖といわれる。アルカリにかなり安定である。
(3)生物学的性質 活性グルコースすなわちウリジン二リン酸グルコースのグルコシル基がフルクトフラノースに転移してサッカロースが生成される。光合成植物の炭水化物はサッカロースの形で貯蔵される。動物体内に摂取されたサッカロースは、腸液中のスクラーゼによって、グルコースとフルクトースとに分解され、吸収されてエネルギー源として用いられる。また、すぐに用いられない場合はグリコーゲンとして蓄えられる。
 用途は非常に広い。飲食物用としては、砂糖製品、調味料、嗜好(しこう)品、保存料などに用いられる。薬用には、内服薬の味の調整剤や糖衣、また内・外用薬や、ある種の注射液の希釈剤として用いられる。分析用試薬としては、酸化カルシウムが30%のサッカロースの溶液に溶けるが、酸化マグネシウムは溶けないので、両者の分離に用いられる。また、銀の検出にも用いられる。そのほか、浸透圧調整、生体物質の分離精製や分析などで、生化学の実験に多く用いられている。[飯島道子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のサッカロースの言及

【ショ糖(蔗糖)】より

…サッカロースsaccharose,スクロースsucroseともいう。サトウキビ,サトウダイコン(テンサイ)などの多くの植物によって合成されるグルコースとフラクトースが1分子ずつ結合した二糖類。…

※「サッカロース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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