サビニ人(読み)サビニじん(その他表記)Sabini

改訂新版 世界大百科事典 「サビニ人」の意味・わかりやすい解説

サビニ人 (サビニじん)
Sabini

オスク語を話す古代イタリアの一種族。本来ローマ北東部のレアテを中心とした中央山岳地帯に住み,のちラティウムやさらにカンパニア地方に進出した。伝承によれば,ロムルス時代にローマ近隣の一族がこれと合体し,ロムルスとともにサビニ人の王が共同統治を行い,またヌマはサビニ人であったという。他のサビニ人は南下に伴って前5世紀以降ローマと対立したが,前304年ごろその本拠地を攻撃され,結局前3世紀中ごろまでにローマ市民となった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サビニ人」の意味・わかりやすい解説

サビニ人
さびにじん
Sabini

古代イタリアで、中部イタリアに住んだイタリア人の一派オスキ語を使用したと思われる。サムニウム人サベリ人はサビニ人の一派である。ローマの七丘の一つに居住したサビニ人は、ラテン人と合体して都市国家ローマをつくったとみられる。しかしローマ近辺のサビニ人は、ローマの王政時代から紀元前449年までローマと相争ったことが伝えられ、とくに前304~前290年の戦争でクリウス・デンタトゥスに完全に敗れ、前268年に市民権を与えられて完全にローマ化した。迷信じみた慣習と厚い宗教心で知られる。「サビニ人の略奪」の逸話フィクションであるが、ローマ人との融合は信じられないことではなく、ローマ人の間に彼らの宗教、慣習は生き続けた。

[長谷川博隆]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サビニ人」の意味・わかりやすい解説

サビニ人
サビニじん
Sabini

古代イタリアにいた部族。テベレ川東岸に住み,ラテン人と接して,早くからローマと関係をもった。伝説ではロムルス (→ロムルスとレムス ) がサビニ人の女たちを略奪したが,のちサビニのチツス・タチウスがローマの王になったといわれる。ユピテルマルス信仰,いくつかのラテン語はサビニ起源のもの。クラウディウス家など,サビニ人でローマに移住する者が多かったが,前 449年ローマが大勝するまで抗争を続けた。以後は友好状態にあり,前 268年には完全なローマ市民権を与えられた。

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世界大百科事典(旧版)内のサビニ人の言及

【サベリ人】より

…古代イタリアの種族名。狭義ではサムニウム人またはサビニ人の別称。広義ではこれらの種族をも含むオスキ人の総称で,この場合イタリック語を話す諸種族はオスク・ウンブリア人ではなく,ウンブリア・サベリ人と称される。…

【ローマ】より

… このように身分闘争において貴族が譲歩し続けたのは,この時期の近隣諸種族との戦争のゆえであった。前5世紀には北方のエトルリアの圧迫は続き,ラテン諸都市との戦争もあり,他方サビニ人アエクイ族ウォルスキ族など東方の山地帯に拠る諸種族のラティウム平原地帯への進出と戦わねばならなかった。世紀末にはこれらを押し返し,前396年には最強のエトルリア都市ウェイイを攻略した。…

※「サビニ人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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