サブスクリプション(読み)さぶすくりぷしょん(英語表記)subscription

翻訳|subscription

デジタル大辞泉 「サブスクリプション」の意味・読み・例文・類語

サブスクリプション(subscription)

商品の予約支払い。雑誌などの定期購読。
定額制

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知恵蔵 「サブスクリプション」の解説

サブスクリプション

消費者が財やサービスを購入するに当たって、具体物としての財の数やサービスの量、回数ではなく、それらを一定期間利用したり享受したりする権限の提供を受け、その資格を期間中保持することに対して対価を支払う契約のこと。元々は雑誌などの定期購読や予約代金などを意味するが、コンピューターソフトの年間契約使用料や音楽配信サービスの定額利用料などの支払いに関する契約に広くとり入れられ始めた。日本では主に後者の契約形態や支払い方式の呼称として用いられている。
コンピューターソフトや音楽・映像ソフトなどは、従来それらが収録されたCDやDVDなどの記録媒体を消費者が購入、所有して随時利用するという契約や商取引が一般的だった。しかし、消費者が求めているのは媒体ではなく、当然にそこに記録された「情報」である。インターネットの普及や高速大容量化などにより、これらの「情報」は物理的な媒体を介することなく頒布することが容易になった。また、消費者も、日常的な利用に当たって、CDやDVDなどによらず情報端末記憶装置に複写・記録した「情報」を使うことが一般的になっている。また、代金の授受についてもネット決済などの手段が充実してきている。こうしたことから、サブスクリプション方式は電子情報の利用やサービスについてのビジネスモデルとして着目され普及してきた。
IllustratorPhotoshopInDesignなど、画像やDTPについてのコンピューターソフトの有力メーカーであるアドビシステムズは、2012年にこれらのソフトの販売をサブスクリプション方式に変更し、翌年にはDVDなどに記録したパッケージソフトの販売を中止した。同社のソフトはプロも使用する専門性を帯びた高機能なもので、パッケージソフトとして期間を定めず販売する場合は比較的高価なものだった。このため、市場占有率は高いものの、販売額は伸び悩みの傾向にあった。このような中、従来の実体を持った物を売るプロダクト販売型から、販売方式をサブスクリプション型に転換したことで、同社の収益は大きく向上した。サブスクリプション型の月額、年額等の期間を定めた使用料金は、従来のプロダクト販売型の一括払い代金よりも安価に設定できる。導入時の初期費用が抑制できるので、これまで購入をためらっていたアマチュアの消費者なども気軽に利用できる。提供者は流通費用を削減しながら顧客層を拡大でき、継続的な収益が安定して見込めるし、ソフトウエアのバージョンアップに際しても顧客を逃がすことなく囲い込める。利用者から見れば、バージョンアップのたびに別段の費用の支払いを要さず、必要な期間や利用する端末の台数が変動しても柔軟に対応できる。提供者、利用者が直接に結び付くことで、サービスの質の向上も見込まれる。
こうした利点が注目されると共に、消費における「所有から利用へ」といった流れも相まって、電子情報に限らず、自動車、洋服などのレンタルや、一部制限があるものの飲食や化粧品などにもサブスクリプション型の採用が広がっている。なお、一定の期間中について「使い放題」というようなニュアンスを含むためか、習いごとの月謝や諸会費、食品の定期購入など、旧来から存在する定期的に定額を支払う継続購入については、日本ではサブスクリプション型として扱わない場合がある。いずれの場合も、契約が終了すると利用ができなくなり、期間満了後の契約更新時に値上げが行われたり、期間中にもかかわらず提供者の都合によりサービスが停止に追い込まれたりといったリスクも抱えている。

(金谷俊秀 ライター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サブスクリプション」の意味・わかりやすい解説

サブスクリプション
さぶすくりぷしょん
subscription

一定料金を払えば、一定期間内なら商品やサービスを何度も自由に利用できるビジネスモデル。日本では「定額制」「定額課金」などと訳される。略称はサブスク。たとえばCDやDVDなどの物を「所有」するのではなく、そこに記録された情報を「利用」し「体験」する消費スタイルへの転換を意味する。もともと雑誌の「定期購読」「予約購読」の意味であったが、リーマン・ショック後のアメリカで消費者の節約志向が高まり、追加料金なしに最新サービスを自由に利用できるとして、ソフトウェアや動画・音楽配信の分野で普及してきた。代表例が、世界190か国・地域以上で動画配信するネットフリックスNetflix、80か国以上で楽曲を聞けるスポティファイSpotify、企業向けオフィスアプリケーションのOffice365などである。日本でも、新車を定額で利用できるKINTO(キント)(トヨタ自動車)、3年あるいは5年ごとに最新テレビと交換できる「安心バリュープラン」(パナソニック)、ブランドバッグが使い放題の「ラクサス」など、自動車、家電、ファッション、食品・飲食店、ゲーム、電子書籍・雑誌など幅広い分野にサブスクリプションが広がっている。

 サブスクリプションには、消費行動やライフスタイルの変化にあわせ、料金の上げ下げ、新サービスの提供、既存サービスの休止などを機動的に決められる利点がある。一方で、絶えず消費者を飽きさせないくふうが求められ、低コストで商品やサービスを提供し続ける必要がある。つまりサブスクリプションは消費者データを基に、消費者との結びつき(エンゲージメント)を強め、ひとりひとりの消費者から得るトータル売上高(ライフタイムバリューlife time value:LTV)を最大化していくビジネスモデルである。「所有」から「利用」へ消費者の価値観が変化するのにあわせ、多くの企業が従来の「売り切り型」から「サブスク型」へと転換し始めている。

[矢野 武 2019年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

DBM用語辞典 「サブスクリプション」の解説

サブスクリプション【subscription】

特定期間内のサービスや商品の提供を受ける契約上の合意。例えば、定期購読雑誌や新聞は、購読期間ごとに購読契約が結ばれる。

出典 (株)ジェリコ・コンサルティングDBM用語辞典について 情報

パソコンで困ったときに開く本 「サブスクリプション」の解説

サブスクリプション

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