仙人掌科(読み)サボテンか(その他表記)Cactaceae

精選版 日本国語大辞典 「仙人掌科」の意味・読み・例文・類語

サボテン‐か‥クヮ【仙人掌科】

  1. 〘 名詞 〙 双子葉植物の科名。世界に約一〇〇属二〇〇〇種以上あるとされる。大多数が主に熱帯アメリカの乾燥地に分布する。乾性植物で、茎は普通多肉化し、球状や柱状など種々の形態を示す。葉はふつう退化し、刺(とげ)または毛状となる。花は両性放射相称または左右相称。多数の花被があり、外側から内側に向かって萼片様から花弁様に移行する。雄しべは多数。子房下位一室、多数の卵子がある。果実はふつう液果、時に袋果。この仲間の外観は多様だが、花の構造はほとんど同じで、種間雑種が容易にできる。さらに茎の一部を切り取って砂にさすと容易に根を出し、接木もできるのでこれらの性質を園芸品の改良に利用している。この仲間の大多数はその果実が食べられるが、アルカロイドを含むものを食べると幻覚を伴うのでメキシコのアメリカ‐インディアンは宗教上の儀式まじないの際に利用するという。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仙人掌科」の意味・わかりやすい解説

サボテン科
サボテンか
Cactaceae

双子葉植物サボテン目の1科。新大陸熱帯の乾燥地を中心に北アメリカのコロラド州から南アメリカ南端のパタゴニアまで,また,一部はアンデス山脈の標高 4000mをこえる高地にまで分布している。旧大陸では例外的にアフリカに1種が知られる。乾燥適応のため多肉化した茎は柱状,円板状,紐状,球状などをなし,針に変形した葉とともに特異な外形を示すが,例外的に葉状の緑葉をもつモクキリン属 Peireskiaなどもある。花は通常単生し,両性花で放射相称形,多数の花弁とおしべがあって美しい。めしべの子房は下位で,熟すと球形液果となり,内壁に多数の種子をつける。この果実を食用とするもの (Opuntia tunaなど) もある。種類数は多く 50~150属 2000種にも分けられる。分類には諸説があるが,ハシラサボテン亜科 (Cereus属など) ,ウチワサボテン亜科 (Opuntia属など) ,およびコノハサボテン亜科 (Peireskia属など) に大別するのが普通である。 (→サボテン )

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