サリチル酸中毒(読み)さりちるさんちゅうどく

家庭医学館 「サリチル酸中毒」の解説

さりちるさんちゅうどく【サリチル酸中毒】

 サリチル酸は、解熱鎮痛薬としての作用のほかに、血液をかたまりにくくする作用もあるので、動脈硬化(どうみゃくこうか)の進行を予防する目的で用いられることもあります。
[症状]
 耳鳴り難聴めまいがおこります。耳鳴りはほとんどの人におこり、最後まで続きます。
 当初は、呼吸数、換気量が増えて呼吸性アシドーシスがおこりますが、時間がたつと、脂肪の酸化が進み、代謝性アシドーシスもおこってきます。
 子どもは、意識障害におちいることが多いのですが、おとなは意識がはっきりしています。
 重症になると肺水腫(はいすいしゅ)がおこり、生命が危険になります。
[治療]
 事故から10時間以内であれば、初期治療(「医師が行なう中毒の初期治療」)の胃洗浄をします。
 脱水を改善するための点滴、尿からの薬の排泄はいせつ)をうながすための強制利尿を行ないます。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サリチル酸中毒」の意味・わかりやすい解説

サリチル酸中毒
サリチルさんちゅうどく
salicylic acid poisoning

サリチル酸は,およそ 10~30gで成人が中毒し,30~40gで致死的に働く。ただし,この量には個人差がある。一般の人がサリチル酸を服用するのは,アスピリンなどの解熱鎮痛剤に含まれている場合だけである。軽症の中毒では,吐き気嘔吐胃痛,食欲不振などの胃腸症状が現れるので,投与するときには,同量の重曹とともに与えるのがよい。重症の中毒では,呼吸困難,発汗,不穏,錯乱,昏迷のほか,脱水症,発熱出血,腎臓障害も起る。特異体質では,ごく少量の投与でも皮疹アナフィラキシー症状を呈する。治療は,経口摂取に対しては胃洗浄を行なって,その後に下剤を与える。重症例には制酸剤,ビタミンKの投与,補液を行う。

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