サリー(読み)サリー[はく](英語表記)Surrey, Henry Howard, Earl of

デジタル大辞泉 「サリー」の意味・読み・例文・類語

サリー(〈ヒンディー〉sāṛī)

インドやパキスタンのヒンズー教の女性が着用する衣装。チョリという、ぴったりしたブラウスの上から、幅1メートル前後、長さ5メートルほどの長い布を腰から巻き付け、端を肩に垂らしたり、頭にかぶったりして着る。

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精選版 日本国語大辞典 「サリー」の意味・読み・例文・類語

サリー

  1. 〘 名詞 〙 ( [ヒンディー語] sari・saree ) インドやパキスタンの女性の衣装の一つ。絹・綿織製などの長い布で、腰や肩を巻き、残りを頭にかぶせる。おもにヒンドゥー教徒の成人女性が着用する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サリー」の意味・わかりやすい解説

サリー(伯)
サリー[はく]
Surrey, Henry Howard, Earl of

[生]1517. ハンズドン?
[没]1547.1.13. ロンドン
イギリスの詩人,軍人。ヘンリー8世の廷臣。貴族の名門に生まれ,1532年フランスに渡り,約 1年フランス宮廷に滞在ののち,帰国。1543~46年にはフランス,フランドルで軍務に服した。1546年に帰国したが,政敵シーモア家の策謀によって反逆罪で処刑された。行動力と勇気と感受性を兼ね備え,ジョージ・ゴードン・バイロンを思わせる資質と行状の持ち主であり,のちにそのロマン的な才気をうたわれた。文学史のうえではまずトマス・ワイアットとともに初めて英詩にソネットの形式を導入,確立したことで知られる。技巧的にはワイアットより優れ,フランチェスコペトラルカ風の伝統の影響をより強く受けながらも,イタリア(ペトラルカ)風の形式を変革してイギリス(ウィリアム・シェークスピア)風ソネットを生み出す端緒を開き,エリザベス朝独特のソネット形式を準備した。しかし最大の功績は,『アエネイス』の第2巻と第4巻の英訳に初めて無韻詩を用いたことであろう。恋人ジェラルディンをたたえたソネット,そのほか優雅で仕上げのみごとな 40編の作品は,『トトル詩選集』Tottel's Miscellany(1557)に収められた。

サリー
Sully, Thomas

[生]1783.6.19. イギリス,リンカーンシャー,ホーンカッスル
[没]1872.11.5. アメリカ,ペンシルバニア,フィラデルフィア
イギリス生れのアメリカの画家。チャールストンで修業。 1810年フィラデルフィアに定住。当代の最も有名な肖像画家の1人として活躍し,「アメリカのトマス・ロレンス」と呼ばれて一般に親しまれた。代表作は『ハープを持つ婦人』 (1818,ワシントン・ナショナル・ギャラリー) ,『ビクトリア女王』 (38~39,メトロポリタン美術館) 。

サリー
Sully, James

[生]1842.3.3. サマセット,ブリッジウォーター
[没]1923.11.1. サリー,リッチモンド
イギリスの心理学者。ロンドン大学教授。業績は,感覚,直観,児童,さらに美学など広範にわたり,特に 19世紀末の代表的教科書の著述で著名。主著『心理学大要』 Outlines of Psychology (1884) ,『人間の心』 Human Mind (92) 。

サリー
saree(sari)

インドやパキスタンのヒンドゥー教徒女性の着用する巻衣形式の代表的な民族服。概して薄地の絹や木綿でできた大きなショール型で,チョリ choriと呼ぶタイトな短いブラウスの上に着用する。腰から肩に巻きつけ,余りの部分は背側に垂らしたり,頭からかぶったりする。4世紀頃までは男子も着用したという。

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改訂新版 世界大百科事典 「サリー」の意味・わかりやすい解説

サリー
sari

インド,パキスタンでおもにヒンドゥー教徒の成人女性の着る巻き衣(ドレーパリー)の一種。西アジア,ギリシアなどから伝わったともいわれ,古来男女ともに着用したが,近世になって男性がドーティを着けるようになり,サリーが女性の衣服になったという。裁断縫製をしないのが特徴で,幅1.2m,長さ5~11mまでの一枚の長い布を体に巻きつけて着用する。宗教的行事や結婚式などでは頭や顔をおおい,激しい労働をする際は頭からかぶる。サリーの下にはひもつきのペチコートと,チョリchoriと呼ばれるぴったりしたシャツ状の短い上衣を着ける。布の末端の肩や頭をおおう部分をパルーと呼び,さまざまの模様やししゅうをほどこしているが,装飾だけでなく米を包んだり鍵束を結びつけるなどにも使われる。サリーの素材には木綿,絹,化合繊のものがあり,絞りや絣,ししゅう,スパンコール,金銀糸を織りこんだものなどがある。インド北部では薄い同色系統の組合せ,南部ではコントラストの強い濃い色が好まれる。赤は花嫁衣装に,また白一色は夫を亡くした妻の衣装とされ,アクセサリーをつけず一生着用される。
執筆者:



サリー
Henry Howard, Earl of Surrey
生没年:1517?-47

イギリス・ルネサンス期の文人。とくに近世英詩の誕生期に,詩の形態の決定に果たした役割は大きい。名門の貴族の子弟であり,軍人としても活躍し,いわば文武両道に秀でたルネサンス宮廷人の理想を体現するかに見えたが,フランス戦線では武運つたなく,敗戦を重ねた。最後に反逆罪で処刑されたのは,指揮官として敗戦の責任をとらされたのであろう。しかしその前に,詩人としての達成はなされていた。ルネサンス抒情詩のもっともはなやかな開花であるペトラルカ風ソネットをイギリスに導入し,しかもそれをペトラルカの形式よりも英詩の韻律にふさわしい形式(のちにイギリス形式またはシェークスピア形式と呼ばれる)に作り直した。またウェルギリウス作《アエネーイス》の一部をブランク・バース(弱強五歩格無韻詩)に訳し,英詩のもっともすぐれた表現様式を確立したのは不滅の業績である。
執筆者:

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知恵蔵 「サリー」の解説

サリー

東芝、IHI及び米国の原子力産業大手ショー社が共同で製造したセシウム除去装置。装置の通称「サリー(SARRY)」は、「単純型汚染水処理システム」の英語表記Simplified Active Water Retrieve and Recovery Systemの略称。2011年の福島第一原子力発電所の事故の際、暴走した炉心を冷やすために大量に投入された水の放射能汚染を除去するため、先行して稼働する外国製装置に加えて、8月から追加導入された。弁の切り替えによって先行する装置と連結したり、単独で運用したりするなど水処理の順や系統を変更することが可能になり、汚染水処理の稼働率向上や処理量増加を図ることを目指している。
高濃度放射性汚染水の処理装置として、米キュリオン社と仏アレバ社の2つの装置を直列につないだものが同年6月から稼働しているが、機器のトラブルや相次ぐヒューマンエラーで除去能力や稼働率が想定を大きく下回り処理の遅れが指摘されていた。このため、バックアップ用に新たに投入したサリーを旧来の装置と並行運転させ、導入時点で10万トン以上も滞留した汚染水について、新旧合わせて毎時最大70トンの処理を行う予定。サリーは、放射性物質を吸着させる合成ゼオライトとチタンケイ酸塩を詰めた円筒形の吸着塔を並べて直列につないだものを2系統備え、ここに汚染水を流して浄化する仕組み。水を送り込むポンプの数を減らして不具合が起きにくくするなどして、現在稼働中である同様の機能のキュリオン社のセシウム吸着装置よりもシンプルな構造で信頼性が高いという。

(金谷俊秀  ライター / 2011年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サリー」の意味・わかりやすい解説

サリー(民族衣装)
さりー
sari
saree

インドやパキスタンでおもにヒンドゥー教徒の女性が着用する民族衣装。長さ5~11メートル、幅1メートルほどの1枚の大きな布で、ペチコートとチョリcholiを着た上に巻き付けて装う。着方は、ペチコートのウエストに、襞(ひだ)を畳みながらサリーを入れ、右側から体を包むように左肩に巻き付け、残りの部分を頭にかぶったり、肩から後ろに流したりする。巻き付け方は身分、場合、地域などを表し、微妙な違いがみられる。後ろに長くトレーンを引く形、あるいは余った部分を股間(こかん)を通してルーズなズボン風に着付ける方法などもある。普段用サリーには絹ジョーゼット、シフォン、木綿地などの柄物(がらもの)、無地が使われるが、装飾的なボーダー柄になっていることが多い。フォーマルなものには、より厚手の多彩な色彩の布地が用いられ、金糸・銀糸を織り込んだ豪華なものも多い。サリーの下に着て胸を支えるブラジャーの役割を果たすチョリは普通前あきで、丸型、V型、角型などのネックライン、袖なし、短袖、長袖がある。チョリとともにネックレスを飾り、サリーが完成される。

深井晃子


サリー(イギリス)
さりー
Surrey

イギリス、イングランド南部、大ロンドンの南部および南西部に隣接するカウンティ(県)。面積1677平方キロメートル、人口105万9015(2001)。県都ギルドフォードGuildford。ケスタ地形が発達する丘陵性低地で、侵食されにくい白亜層が、東西に延びるノースダウンズ丘陵を形成する。大ロンドンに隣接する地域はその緑地帯に指定され、その外縁部も首都圏に含まれる。郊外住宅が発達し、ダービー開催競馬場で知られるエプソンのような有名行楽地もある。住宅地の外縁には、ロンドン市民に牛乳、野菜、果物などを供給する酪農、園芸農業を含む近郊農業が発達。ガラス、鉄工業や製粉業も立地し、とくに北部のテムズ川沿岸にはロンドンから続く工業地区が存在する。

[久保田武]

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デジタル大辞泉プラス 「サリー」の解説

サリー

《Sully》アメリカ第43代大統領、ジョージ・ブッシュの晩年を支えた介助犬。犬種はラブラドール・レトリーバー。2018年6月に着任、脳血管性パーキンソン症候群を患った元大統領を介助した。同年11月30日の大統領死亡後、葬儀を待つ棺に付き添って横たわる姿が“任務完了”の言葉とともにSNSに投稿され話題となった。サリーの名は2009年に起きた航空機事故の際、ハドソン川に飛行機を不時着させ多くの人命を救った機長、チェスリー・サレンバーガーのニックネームに由来する。

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百科事典マイペディア 「サリー」の意味・わかりやすい解説

サリー

英国,イングランド南東部の州。中央部を東西にノース・ダウンズ丘陵が走り,平地は粘土層,丘陵は白亜紀層よりなる。北部はグレーター・ロンドンに含まれ,ロンドン近郊地域で酪農,果樹栽培が行われるが,近年宅地化が著しい。食品加工・機械工業も行われる。州都キングストン・オン・テムズ。1663km2。113万2390人(2011)。

サリー

インドのヒンドゥー教徒の女性の着る巻き衣。幅1m余,長さ5〜11mの1枚の布を体に巻きつけて着用する。ペティコートとチョリ(半袖(はんそで)のブラウス)を着た上に腰から肩へ巻きつけ,余りを肩から後ろに流したり頭にかぶったりする。身分,地方などで着方が異なる。布地は木綿や絹,化合繊などで,高級なものは縁飾りや刺繍(ししゅう)が施されている。

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世界大百科事典(旧版)内のサリーの言及

【ヒンドゥー教】より

…また男性はビャクダンまたはサフランの粉末を油で練って,煤を混ぜて黒色にしたティラクと称する印を額に付けることもある。伝統的には,とくにバラモンの高僧に会うときには,男子はドーティと称するインド服を,女子は1枚の縫目の無い布から作られたサリーを着用する。バラモンは非暴力の精神から菜食主義を守り,とくに牛の崇拝から牛肉を忌避する。…

※「サリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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