サンタンジェロ城(読み)サンタンジェロじょう[ローマ](英語表記)Castel Sant'Angelo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンタンジェロ城」の意味・わかりやすい解説

サンタンジェロ城[ローマ]
サンタンジェロじょう[ローマ]
Castel Saint'Angelo, Roma

ローマのテベレ川右岸にある古代ローマの建物。聖天使城の意。本来はローマ皇帝ハドリアヌスの廟墓として,139年に皇帝アントニヌス・ピウスが奉献したもの。それゆえ古くはハドリアネウムまたはセプルクルム (墓所) ・アントニノルムと呼ばれ,カラカラ帝 (在位 211~217) にいたるまで歴代皇帝の埋葬所として使用されていた。円形平面のこの建物はエトルリア以来の墳墓の形式を伝承している。しかし5世紀初頭ホノリウス帝によって,古代ローマを取囲んでいたアウレリアヌス城壁と連結されるに及び,城塞の性格をもつにいたり,中世には近くのバチカンと地下道によってつながる城塞として使用されていた。「聖天使城」の名は,590年のペスト大流行に際し教皇聖グレゴリウス1世が大天使ミカエルの大理石像を建物頂上に備えたことに由来。現在では古代から近代までの武器,美術品などの博物館となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンタンジェロ城」の意味・わかりやすい解説

サンタンジェロ城
さんたんじぇろじょう
Castel Sant'Angelo

ローマ市内テベレ川右岸、バチカン市国の手前に建つ城。別名ハドリアヌス廟(びょう)。ローマ皇帝ハドリアヌスが彼自身とその後継者たちの墓として建造したもので、135年ごろ起工、139年アントニヌス・ピウスが完成させた。84メートル四方の基壇の上に直径64メートル、高さ約30メートルの円筒形の建物を建て、その上にエトルリア式の盛り土をして樹木で囲った大墳墓には、セプティミウス・セウェルス帝に至る諸皇帝が埋葬された。ローマ帝国の崩壊後しばしば改造が加えられ、要塞(ようさい)や監獄として使用され、現在は武器博物館となっている。サンタンジェロの名称(「聖天使城」の意)は、590年ペストが流行した際、教皇グレゴリウス1世が城の頂に剣を持った大天使ミカエルの姿を見たという伝説に由来する。なお、この城のあるローマ歴史地区は教皇領、サンパオロ・フォーリ・レ・ムーラ教会とともに世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[篠塚二三男]


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