サンダル(英語表記)sandal

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デジタル大辞泉 「サンダル」の意味・読み・例文・類語

サンダル(sandal)

足をおおい包まず、甲の部分にかけひもなどをつけた婦人靴。
足の甲の部分に幅広のバンドをつけた履物
古代ギリシャ・ローマ人が履いた、わらじに似た革の履物。
[類語]草履雪駄草鞋ゴム草履突っ掛け草履スリッパ

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精選版 日本国語大辞典 「サンダル」の意味・読み・例文・類語

サンダル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] sandal )
  2. 西洋風履き物一種。足をおおい包まず、甲の部分がひも、またはバンドだけの靴。
    1. [初出の実例]「矢張り土人の巡査が、赤帽を着て足にはサンダルを履き」(出典:旅日記から(1920‐21)〈寺田寅彦〉五)
  3. ひもで底を足にくくりつけ、さらに編み上げて履くもの。主にギリシア・ローマで用いられた。
    1. [初出の実例]「紀元前の半島の人の如くに、しなやかな革で作ったサンダルを穿(は)いて」(出典:ケーベル先生(1911)〈夏目漱石〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「サンダル」の意味・わかりやすい解説

サンダル
sandal

平たい一層あるいは重層の台部を,かけひも,鼻緒やバンドあるいは鼻棒で足に固定する履物の総称。台部やかけひもの材料は,革や木,アマ,シュロ,わらその他の植物繊維が多く,最近はゴム,ビニル合成皮革などが用いられる。

 もっとも古いサンダルは前2000年ころの古代エジプトのものであるが,利用者は貴族,僧侶,戦士だけにかぎられていた。僧侶は,パピルスでできたサンダルしか用いなかったといわれる。ただこのような高位の人でも常用していたわけではなく,王の背後にサンダルを捧げもった召使が従っている壁画からうかがわれるように,儀式,謁見などの際にのみ用いられた。古代エジプトではサンダルを作る技術はかなり発達しており,生皮を革に仕上げるとか,植物液やミョウバンなどで紫,緑,緋色などに着色する技術も知られていた。また象のきばをかたどったつま先のものなどデザインもすぐれていた。サンダルはギリシア・ローマ時代にも受けつがれ,両時代の履物の主流を占めたが,中世以降のヨーロッパではほとんど見られなくなった。

 東洋では日本,中国や東南アジア,西アジアなどに見られる下駄が,足の甲をおおっていない点でサンダルと同じく開放性履物に分類されるが,ふつう下駄は1枚の台材に歯がつけられていることからサンダルとは区別される。しかし日本の草履草鞋(わらじ)は,わらを材料とするサンダルといえる。

 鼻緒を用いるサンダルでは,外国の古今いずれのものであっても,また日本の古い下駄でも,前緒を台部に通す穴(前壺)の位置が,台前部の中央ではなく親指側へかたよっており,日本で庭下駄として用いられている鼻棒式サンダルでも,鼻棒は親指側へかたよって立てられている。このような形式のものでは,要するに前緒は親指と2番目の足指の間(1番目の指股)を通る。そして横緒が2本に分かれているのが伝統的な形式である。またこの形式は,指股を単にきざみ目として利用しているだけで,横緒が台部を足に密着させていることになる。これに対して,日本で現在使用されている前緒が台前部中央の前壺を通る草履,下駄などは,短い前緒を足指できつくはさんで歩く独特なものである。下駄の前壺の位置が,なぜ台前部の親指側から中央へ移ってきたかということについては,心縄(しんなわ)を両足の親指にかけて編んでいく草履や足半(あしなか)(短小で足裏の半分ほどしかない草履)の製法では,前緒が台前部の中央にくることになるので,それとの関連が考えられる。

 指股を通す前緒の利用形式としては,1番目の指股を利用するものが圧倒的に多いが,そのほかに2番目の指股だけを使うもの(古く中国,メキシコ),1番目と3番目の併用(古くメキシコ),1番目と4番目の併用(古代エジプト,中世のフランス),四つの指股すべての併用(古代ローマ)などが知られている。
履物(はきもの)
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百科事典マイペディア 「サンダル」の意味・わかりやすい解説

サンダル

底部を紐(ひも)やバンドで足に固定するだけで,甲をおおわないはきもの。古代エジプトでは木,アマ,パピルス,革などで作られ,ギリシア・ローマでも盛んに用いられた。現在でも革,ゴム,ビニル,合成皮革,木などで作られて広く用いられている。
→関連項目ミュール

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