シクロホスファミド

化学辞典 第2版 「シクロホスファミド」の解説

シクロホスファミド
シクロホスファミド
cyclophosphamide

2-[bis(2-chloroethyl)amino]tetrahydro-2H-1,3,2-oxazaphosphorin-2-one.C7H15Cl2N2O2P(261.1).ビス(2-クロロエチル)アミンにオキシ塩化リンを反応させ,次に2-アミノプロパン-1-オールと環化させると得られる.ラセミ体無色柱状晶.融点51~52 ℃.一水和物は融点41 ℃.(R)-シクロホスファミドは融点65~66 ℃,+2.3°(メタノール).酢酸に易溶,エタノールベンゼン,水に可溶.多発性骨髄腫,悪性リンパ腫,乳がん,急性白血病,肺がん治療薬として使用される.LD50 421 mg/kg(マウス静注).[CAS 50-18-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シクロホスファミド」の意味・わかりやすい解説

シクロホスファミド
cyclophosphamid

ナイトロジェン・マスタード誘導体の一種核酸やその他の細胞構成成分をアルキル化して細胞の代謝を阻害し,特に腫瘍細胞を死にいたらしめる。こうした作用をもつ抗腫瘍剤をアルキル化剤と呼んでいる。それ自体に抗腫瘍性はなく,生体内で開環されて活性物質となる。腫瘍細胞に対する選択性は高い。安全域は高く,急性毒性はナイトロジェンマスタード-N-オキシドの約2分の1で,慢性毒性もアルキル化剤のなかでは最も低い。各種の肉腫,ホジキン病,白血病,各種の悪性腫瘍などの改善に用いる。副作用として白血球減少頭痛,胃腸障害,脱毛,出血傾向などがみられるが他のアルキル化剤より少い。

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百科事典マイペディア 「シクロホスファミド」の意味・わかりやすい解説

シクロホスファミド

化学式はC7H15N2Cl2O2P。水やエタノールに可溶のアルキル化剤で,DNA合成を阻害する。抗体産生中のBリンパ球の増殖を妨げるので,免疫抑制の作用があり,臓器移植時の拒絶反応を抑える免疫抑制剤として使われる。また,抗癌剤として,リンパ腫,ホジキン病,白血病などに使用。

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世界大百科事典(旧版)内のシクロホスファミドの言及

【制癌薬】より

…以下かっこ内は商品名を指す)が生まれた。臨床的によく用いられるものとして,シクロホスファミド(エンドキサン),カルボコン(エスキノン),チオテパ(テスパミン),ニムスチン(ニドラン)などがある。またこのほかに,ブスルファン(マブリン),ピポブロマン(アメデール),インプロスルファン,別名864T(プロテクトン),メルファラン(アルケラン)およびミトブロニトール(ミエブロール)の5種類が臨床に供せられている。…

※「シクロホスファミド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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