シパーヒー(その他表記)sipāhī

改訂新版 世界大百科事典 「シパーヒー」の意味・わかりやすい解説

シパーヒー
sipāhī

ペルシア語起源のウルドゥー語で〈軍隊〉〈兵士〉を意味する。英語ではセポイsepoyとして知られてきたが,この語が転訛したものである。近代ではインド亜大陸においてヨーロッパ人士官に訓練,指揮されたヨーロッパ風のインド人軍隊のこと。東インド会社のインド統治以来,イギリスによるインドの軍事的支配の柱となった。雇い始めたのは1740年ごろ,フランス人デュマがイギリスとインドの覇権を争う際雇用した。48年イギリス人ロレンスがこれをまねてイギリス式訓練を受けたインド人の正規軍をつくりあげた。1857年彼らの反乱インド大反乱(セポイの反乱))は有名。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「シパーヒー」の解説

シパーヒー

①〔トルコ〕sipāhiオスマン帝国のトルコ系在郷騎士スルタンからティマール(封土)を与えられ,その見返りとして戦時には禄高に応じて軍備を整え出征した。16世紀末以後戦力の中心はイェニチェリ(常備軍)に移り,シパーヒーは重要性を失った。

②〔インド〕sipāhīペルシア語,ウルドゥー語で「兵士」を意味する。植民地インドに関しては「インド人傭兵」の意味に用いられる。イギリス東インド会社時代および直接統治時代に,イギリスが植民地支配のために雇用したインド人一般兵士をさす。彼らは他のイギリス植民地にも配備された。また第一次世界大戦,第二次世界大戦などインド国外の戦争にも動員された。英語の「セポイ」はこの言葉が訛ったもの。

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旺文社世界史事典 三訂版 「シパーヒー」の解説

シパーヒー

①sipāhi オスマン帝国の発展を支え,その軍事力の中核をなしたトルコ系騎兵
②sepoy イギリス東インド会社が組織したインド人傭兵
16世紀には約4万騎を数えたとされ,スルタンからティマールと呼ばれる封土を与えられた。彼らはその保有地から租税収入を得,面積に応じた数の従者を伴って戦いに参加するシステムとなっていた。
シパーヒーとはウルドゥー語で「兵士」「軍隊」の意味で,その英語訛りであるセポイとして知られてきた。イスラーム教徒や上位カースト出身のヒンドゥー教徒で構成され,対フランスだけではなく,ビルマなど隣接地域との戦争にも動員され,主力として戦った。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シパーヒー」の意味・わかりやすい解説

シパーヒー
sipâhi

オスマン帝国の封建軍団の中核をなす騎士。戦時には各人の「封土」の多少に応じた従士を引連れて上官 (アライ・ベイ) のもとに参集し,平時には農民と農事を監督した。

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世界大百科事典(旧版)内のシパーヒーの言及

【ティマール】より

… 内陸アジアから移住したトルコ族によって13世紀末に建国されたオスマン帝国は,16世紀前半までに,西アジア(イランを除く),北アフリカ,バルカン半島の大部分を征服・併合した。その軍事力の中心をなしたのはシパーヒーsipāhīとよばれる騎兵を中核とした在郷軍団(16世紀半ばには約4万騎と推定されている)であった。シパーヒーは,スルタンによって与えられた〈封土〉(ディルリキdirlik。…

【イクター】より

…次のマムルーク朝(1250‐1517)でも,イクター制は国家と社会を規定する基本制度として機能し続け,軍隊制度の整備に伴って軍人の位に応じたイクター授与の体系化が著しく進んだ。オスマン帝国(1299‐1922)では規模の大小に応じてハースhas,ゼアーメトzeamet,ティマールの3種の土地分与が行われたが,イクターと同じ性格の土地はシパーヒー(騎士)が保持する比較的小規模のティマールであった。しかしティマール制は16世紀中ごろには早くも解体への兆しを見せ始め,またエジプト・シリアでも,17世紀半ばにはティマール制からイルティザーム(徴税請負)制への全面的な切替えを余儀なくされるにいたった。…

【ティマール】より

… 内陸アジアから移住したトルコ族によって13世紀末に建国されたオスマン帝国は,16世紀前半までに,西アジア(イランを除く),北アフリカ,バルカン半島の大部分を征服・併合した。その軍事力の中心をなしたのはシパーヒーsipāhīとよばれる騎兵を中核とした在郷軍団(16世紀半ばには約4万騎と推定されている)であった。シパーヒーは,スルタンによって与えられた〈封土〉(ディルリキdirlik。…

※「シパーヒー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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