フランスのファッション・デザイナー。通称ココ・シャネル。ロアール河岸のソミュール生れ。母が早く死に,孤児院で育てられた。お針子や旅まわりの歌手などをして苦しい青春時代を過ごした。1914年,第1次世界大戦が始まった時,彼女はドービルの海岸にいた。この戦争の間に女たちは外に出て働くようになっていた。それらの新しい女のために,海岸で働く人々の動きやすい服をとりいれたデザインをつくり,20年にパリのカンボン街に新しい店を開いた。20年代は,ウエストを締めつけ,胸と腰をふくらましたシルエットにかわって,短いスカートのボーイッシュな若々しいスタイルが好まれた時代であった。活動的・機能的なデザインを次々発表し,パリで最も人気のあるオート・クチュールとなった。とくに前あきのカーディガン・スタイルの上着と袖なしのブラウス,膝丈のスカートの組合せシャネル・スーツは世界中に広がり,愛好されている。彼女のサロンにはディアギレフやコクトーなど20年代を代表する芸術家が集まった。またオート・クチュールとしてはじめて香水をつくり,〈シャネル五番〉をヒットさせた。その生涯は,一つの時代の文化史をみるように華麗であるが,晩年は孤独であった。
執筆者:海野 弘
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フランスの服飾デザイナー。20世紀を代表するデザイナーの一人。愛称ココ・シャネル。帽子デザイナーから出発し、第一次世界大戦後の社会変化を反映した、機能的でシンプルなジャージーの服を発表し、新しい女性らしさの概念を打ち出した。1920年から1930年代にかけて活躍し、ピカソ、コクトーら芸術家から、貴族までの多彩な交友は有名。第二次世界大戦後、創作活動を休んでいたが、1954年カムバックすると、1960年代の世界的なシャネル・スーツのブームを起こし、死の直前まで、パリ・モード界の女王として君臨した。彼女の一貫した「働く女性のための服」というファッション哲学は、カーディガン・タイプのいわゆる「シャネル・スーツ」を生み、これは20世紀女性服のプロトタイプとして高く評価される。装飾性を重視したコスチューム・ジュエリーの発想、オートクチュールの名をつけた香水「シャネル5番」の発売なども彼女の業績である。1983年以来シャネル店のデザイナーに任命された、カール・ラガーフェルドKarl Lagerfeld(1933―2019)により、ふたたび世界的にシャネル・スーツ・ブームが起こった。
[深井晃子]
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…さらに天然香料から含有成分を分離した単離香料と,有機合成反応によって合成した合成香料があり,現在知られているものはおよそ4000種といわれている。1910年代まではヤードレー,ウビガン,ロジェ・アンド・ガレ,ゲラン,コティ,キャロンといった香水や化粧品の専門メーカーによって,それも天然香料を主にした香水が発売されていたが,1920年代になってオート・クチュールのシャネルが合成香料のアルデハイドを配合した香水〈No.5〉を発表し,以後ランバン,ジャン・パトゥ,スキャパレリ,ディオールなどデザイナー・ブランドの香水が発売される傾向になった。香りのタイプもシングルフローラル(単純な花の香り)からオリエンタル(ジャコウなど動物的な香り,ダナの〈タブー〉,ゲランの〈ボル・ド・ニュイ(夜間飛行)〉など),シプレー(シプル島のイメージをもった粉っぽい香り,ゲランの〈ミツコ〉,ディオールの〈ミス・ディオール〉など),フローラルブーケ(花束の香り,ジャン・パトゥの〈ジョイ〉,ニナ・リッチの〈カプリッチ〉など),アルデハイド(合成香料アルデハイドを主調としたモダンな香り,〈シャネルNo.5〉,ランバンの〈アルページュ〉など)と発展し,1970年代からグリーン・ノート(青葉・青草の香り,〈シャネルNo.19〉,Y.サン・ローランの〈イグレック〉など)が流行した。…
…パリ・ファッションも20年代に世界的なものとなった。G.シャネル(ココ・シャネル)は働く女性のためのファッションを売り出した。《ボーグ》や《ハーパーズ・バザー》といったファッション誌によって,パリ・ファッションはアメリカ中に伝わった。…
※「シャネル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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