シャネル(英語表記)Gabrielle Chanel

デジタル大辞泉 「シャネル」の意味・読み・例文・類語

シャネル(Gabrielle Chanel)

[1883~1971]フランス服飾デザイナー。第一次大戦後、シンプルで着やすいドレスを考案して新しい女性らしさの概念を打ち出した。いわゆるシャネルスーツほかに、香水の発売でも知られる。通称ココ=シャネル。

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精選版 日本国語大辞典 「シャネル」の意味・読み・例文・類語

シャネル

[一] (Gabrielle Chanel ガブリエル━) フランスの女性服飾デザイナー。通称ココ=シャネル。帽子デザイナーから出発し、着やすい婦人服モットーに独自の服飾デザインを創始して世界有数のデザイナーとなり、パリで高級衣装店シャネルを開いた。そのデザインになるシャネルスーツは有名。(一八八三‐一九七一
[二] (Chanel) 一九二四年(一)の衣装店から発売された香水の名。シャネルが愛用するのでその名をつけたとされ、五番、一九番は特に有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「シャネル」の意味・わかりやすい解説

シャネル
Gabrielle Chanel
生没年:1883-1971

フランスのファッション・デザイナー。通称ココ・シャネル。ロアール河岸のソミュール生れ。母が早く死に,孤児院で育てられた。お針子や旅まわりの歌手などをして苦しい青春時代を過ごした。1914年,第1次世界大戦が始まった時,彼女はドービルの海岸にいた。この戦争の間に女たちは外に出て働くようになっていた。それらの新しい女のために,海岸で働く人々の動きやすい服をとりいれたデザインをつくり,20年にパリのカンボン街に新しい店を開いた。20年代は,ウエストを締めつけ,胸と腰をふくらましたシルエットにかわって,短いスカートボーイッシュな若々しいスタイルが好まれた時代であった。活動的・機能的なデザインを次々発表し,パリで最も人気のあるオート・クチュールとなった。とくに前あきのカーディガン・スタイルの上着と袖なしのブラウス,膝丈のスカートの組合せシャネル・スーツは世界中に広がり,愛好されている。彼女のサロンにはディアギレフコクトーなど20年代を代表する芸術家が集まった。またオート・クチュールとしてはじめて香水をつくり,〈シャネル五番〉をヒットさせた。その生涯は,一つの時代の文化史をみるように華麗であるが,晩年は孤独であった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャネル」の意味・わかりやすい解説

シャネル
しゃねる
Gabrielle Chanel
(1883―1971)

フランスの服飾デザイナー。20世紀を代表するデザイナーの一人。愛称ココ・シャネル。帽子デザイナーから出発し、第一次世界大戦後の社会変化を反映した、機能的でシンプルなジャージーの服を発表し、新しい女性らしさの概念を打ち出した。1920年から1930年代にかけて活躍し、ピカソ、コクトーら芸術家から、貴族までの多彩な交友は有名。第二次世界大戦後、創作活動を休んでいたが、1954年カムバックすると、1960年代の世界的なシャネル・スーツのブームを起こし、死の直前まで、パリ・モード界の女王として君臨した。彼女の一貫した「働く女性のための服」というファッション哲学は、カーディガン・タイプのいわゆる「シャネル・スーツ」を生み、これは20世紀女性服のプロトタイプとして高く評価される。装飾性を重視したコスチューム・ジュエリーの発想、オートクチュールの名をつけた香水「シャネル5番」の発売なども彼女の業績である。1983年以来シャネル店のデザイナーに任命された、カール・ラガーフェルドKarl Lagerfeld(1933―2019)により、ふたたび世界的にシャネル・スーツ・ブームが起こった。

[深井晃子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャネル」の意味・わかりやすい解説

シャネル
Chanel, Gabrielle

[生]1883.8.19. イスワール近郊
[没]1971.1.10. パリ
1920~70年代初頭に活躍したフランスの女性服飾デザイナー。通称ココ・シャネル Coco Chanel。 1910年パリに婦人帽子店を開いたが,第1次世界大戦後,婦人服のデザイナーに転向した。第2次世界大戦後,社会に進出し始めた女性のために,ジャージーを巧みに用いて,コルセットのいらない活動的なスタイルを発表し,従来の服飾の伝統を破った。また装飾を省いた衣服の本体にブレードやコードの縁取りをつけ,当時としては珍しい大小の色ガラスやクリスタル・ガラスのアクセサリーを取り入れた。この奇抜で独特のシャネルスタイルは,めまぐるしい流行の変遷のなかでもあまり変化することなく,今日までなじまれている。また彼女のつくった香水 Chanel No.5も有名。

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百科事典マイペディア 「シャネル」の意味・わかりやすい解説

シャネル

通称ココCoco。フランスの服飾デザイナー。1920年パリに店を開きシンプルでスポーティーなデザインを発表。特にカーディガン・ジャケットにスカートとブラウスを組み合わせたシャネル・スーツは有名。また婦人服に初めてジャージーをとり入れた。1924年にはオート・クチュールとしてはじめて香水を発売。〈シャネル5番〉として名高い。
→関連項目ニジンスカブレード

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世界大百科事典(旧版)内のシャネルの言及

【香水】より

…さらに天然香料から含有成分を分離した単離香料と,有機合成反応によって合成した合成香料があり,現在知られているものはおよそ4000種といわれている。1910年代まではヤードレー,ウビガン,ロジェ・アンド・ガレ,ゲラン,コティ,キャロンといった香水や化粧品の専門メーカーによって,それも天然香料を主にした香水が発売されていたが,1920年代になってオート・クチュールのシャネルが合成香料のアルデハイドを配合した香水〈No.5〉を発表し,以後ランバン,ジャン・パトゥ,スキャパレリ,ディオールなどデザイナー・ブランドの香水が発売される傾向になった。香りのタイプもシングルフローラル(単純な花の香り)からオリエンタル(ジャコウなど動物的な香り,ダナの〈タブー〉,ゲランの〈ボル・ド・ニュイ(夜間飛行)〉など),シプレー(シプル島のイメージをもった粉っぽい香り,ゲランの〈ミツコ〉,ディオールの〈ミス・ディオール〉など),フローラルブーケ(花束の香り,ジャン・パトゥの〈ジョイ〉,ニナ・リッチの〈カプリッチ〉など),アルデハイド(合成香料アルデハイドを主調としたモダンな香り,〈シャネルNo.5〉,ランバンの〈アルページュ〉など)と発展し,1970年代からグリーン・ノート(青葉・青草の香り,〈シャネルNo.19〉,Y.サン・ローランの〈イグレック〉など)が流行した。…

【ローリング・トウェンティーズ】より

…パリ・ファッションも20年代に世界的なものとなった。G.シャネル(ココ・シャネル)は働く女性のためのファッションを売り出した。《ボーグ》や《ハーパーズ・バザー》といったファッション誌によって,パリ・ファッションはアメリカ中に伝わった。…

※「シャネル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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