日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャルル・ドルレアン」の意味・わかりやすい解説
シャルル・ドルレアン
しゃるるどるれあん
Charles d'Orléans
(1394―1465)
フランスの詩人。バロア朝第4代のフランス国王シャルル6世の弟ルイ・ドルレアンの子。政争に巻き込まれ波瀾(はらん)万丈の青春を送る。ブルゴーニュ公の刺客に暗殺された父の復讐(ふくしゅう)を目ざし、アルマニャック派の首領としてフランスを二分して戦う。アザンクールの戦いで捕虜となり、イギリスで25年の虜囚生活を送る間、フランスをしのび『獄舎の歌』をはじめ、意中の貴女(きじょ)を歌う優雅なバラードやシャンソンを綴(つづ)る。自由の身になるや平和のための調停役を務めたが、変わり果てたフランスに幻滅を感じ、政治生活を捨て、ブロワの居城に引きこもり、「無関心(ノンシャルワール)」を旨とし、お気に入りの詩人たちに囲まれて隠遁(いんとん)生活を送る。1457年に催した詩会にはビヨンも参加した。新鮮な感覚と繊細な感情の持ち主で、完成された最後の宮廷風恋愛詩人、最後の王侯詩人として、巧みなフランス語でアレゴリーを駆使し、優雅と憂愁を込めたロンドーを完璧(かんぺき)の域に高めた。
[高田 勇]