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シュレーディンガーの猫 しゅれーでぃんがーのねこSchroedinger's cat

知恵蔵の解説

シュレーディンガーの猫

オーストリアの物理学者E.シュレーディンガーが1935年に発表した量子力学の問題点を突く思考実験。箱の中にのどが乾いた猫を閉じ込め、ワインのびんを置く。箱に取り付けた装置で原子核の崩壊が起こると、それを引き金にハンマーが振り下ろされ、びんが壊れる仕掛けにする。びんが割れれば、猫はワインをなめて酔っぱらう、というわけだ。量子力学にしたがって核の崩壊と非崩壊という2つの状態が重なるとき、猫の状態も「酔い」と「しらふ」がダブる。箱を開けると、状態はどちらか1つに定まる。観測するまで物事が決まらない不可解さを指摘しているが、同時に量子力学は、私たちが日常なじんでいる巨視世界に及ぶかどうかという問いもはらんでいる。シュレーディンガーの筋書きでは、ワインではなく毒を想定し、猫の生死が重なるとしたが、ここでは、残酷さを避けるため改変した。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

デジタル大辞泉の解説

シュレーディンガー‐の‐ねこ【シュレーディンガーの猫】

オーストリアの物理学者、E=シュレーディンガーが考案した量子力学に関する思考実験。ラジウムα粒子を放出すると毒ガスが発生する装置を猫とともに箱に収め、α崩壊半減期を経過した後に猫の生死を問うもの。半減期を迎えた時点でラジウム原子核が崩壊してα粒子を放出する確率は50パーセントであり、量子力学的には崩壊していない状態と崩壊している状態は1対1の重ね合わせの状態にある。一方、これを猫の生死と結びつけると、生きている状態と死んでいる状態を1対1の比率で重ね合わせた状態にあると解釈される。量子力学的な効果を巨視的な現象に結びつける際に生じる奇妙さを指摘したものとして知られる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シュレーディンガーの猫
シュレーディンガーのねこ
Schrödinger's cat

理論物理学者エルウィン・シュレーディンガーが提唱した量子力学に関する思考実験コペンハーゲン解釈によれば,量子力学では一般に物理量に対する波動関数は広がっているが,観測して物理量が確定した瞬間に 1ヵ所に収縮するとされる(波の収縮)。数学者ジョン・フォン・ノイマンは,収縮は量子力学の基本法則であるシュレーディンガーの波動方程式では説明できないのだから,その波動方程式に従ってふるまう分子で構成されている観測装置によってもたらされるわけはなく,観測結果を人間が意識した段階で,人間の脳の中で収縮が起こると考えざるをえないと主張した。これに対してシュレーディンガーは,箱の中で放射性原子(→放射性同位元素)が自然崩壊すると毒ガスが発生し,中にいるネコが死ぬという仕組みの装置を考えた。原子がいつ崩壊するかは量子力学的プロセスなので一定ではなく,ネコがいつ死ぬかも一定ではない。人間がネコを観測するまで波の収縮が起こらないとすれば,観測前は生きているネコと死んだネコが共存することになり,奇妙だとシュレーディンガーは指摘した。コペンハーゲン解釈の支持者の多くは,原子の崩壊を装置が検出した段階で波の収縮が起こると考えるが,それは厳密には証明されていない。多世界解釈の支持者は,ネコが生きている世界と死んでいる世界が実際に共存しているのだと考える。

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