ジアゾ基=N2をもつ化合物RR'CN2をいう。ジアゾメタンCH2N2、ジフェニルジアゾメタン(C6H5)2CN2、ジアゾ酢酸エチルC2H5OCOCHN2、ジアゾアセトフェノンC6H5COCHN2などが代表的なものである。次の2つの構造式の中間的構造をもつ。
N-ニトロソ化合物をアルカリで分解すると合成できる。非常に不安定な化合物で、熱、光により窒素ガスを放出しカルベンRR'C:を生成する。種々の有機合成反応に用いられる。ジアゾメタンはカルボン酸などのヒドロキシ基-OHをメトキシ基-OCH3にするメチル化剤として用いられるが、有毒である。いずれも爆発性があるので注意を要する。
[谷利陸平]
『日本化学会編『第4版実験化学講座20/有機合成2 アルコール・アミン』(1992・丸善)』
ジアゾ基=N2をもつ,一般式RCHN2,あるいはR2CN2の化合物をいう.脂肪族のもっとも簡単な化合物はジアゾメタンCH2N2である.その構造は,次のような共鳴混成体として表される.
そのほか,ジアゾ酢酸エチルN2CHCOOC2H5,ジアゾケトンRCOCHN2などもよく知られている.いずれも反応性に富む化合物で,窒素を脱離してカルベンの発生源ともなる.芳香族ジアゾ化合物は,芳香核の1個の水素原子をジアゾニウム基-≡N:で置換したジアゾニウム塩[Ar-≡N]X-,およびこれと関連したジアゾアートAr-N=N-O- Na+などを総称していう.ジアゾニウム塩は芳香族第一級アミンと無機酸の水溶液を冷却しながら,計算量の亜硝酸ナトリウム水溶液を加えると生成する.水溶液中ではジアゾニウムイオン [ArN2]+ と酸の陰イオンとに解離している.結晶を得るには,アミンの塩を氷酢酸に懸濁し,冷却しながら亜硝酸ベンチルを滴下し,これにエーテルを加えて生成したジアゾニウム塩を析出させる.固体のジアゾニウム塩は光によって分解しやすく,また加熱や打撃によってはげしく爆発する.ジアゾニウム塩の水溶液にアルカリを加えるとジアゾアートを生成し,酸を加えるとジアゾニウム塩に戻る.各種のアニオノイド試薬と反応して芳香族置換体を生成する.たとえば,ArOH,ArCl,ArBr,ArCN(Arはアリール基)などの製法として利用される.[別用語参照]ジアゾ反応
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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