翻訳|jam
果実あるいは果肉に砂糖を加えて適当な濃度にまで煮つめたもの。〈押しつぶす〉の意の同形の動詞に由来する語と考えられている。パンにぬったり,ケーキ,ペーストリー,タルト,クレープなどに風味づけと彩り,飾りを兼ねて用いられる。果実や果肉は原形を保たなくてもよく,ふつうは煮くずれて混濁している。ゼリー状になるのは,果実中のペクチンと酸に砂糖が作用することによるもので,糖度は65%内外である。果実や果肉の形が残っているものはプレザーブpreserveという。果実はイチゴ,カラント,ラズベリー,グーズベリー,リンゴ,アンズ,モモ,イチジク,ブドウ,サクランボなどを用いる。マーマレードmarmaladeは,かんきつ類のジャムで,果肉と薄片の果皮を含むものをいい,ギリシア語で〈蜜のリンゴ〉の意のメリメロンmelimēlonから派生したポルトガル語マルメラーダmarmelada(マルメロの砂糖煮)を語源とする。通常はオレンジ・マーマレードを指し,ライム,レモン,グレープフルーツ,ナツミカンなどでもつくられる。しかし,マーマレードの語は,ヨーロッパの多くの国では濃いジャムを,フランスでは果実の煮つぶしたものを,スペインではリンゴの煮つぶしをいうなど,違いがある。
JASでは,〈ジャム類〉として,果実を糖類とともにゼリー化するようになるまで加熱したものと定義し,可溶性固形物(糖質)65%以上と規定している。そしてジャム類をジャム,ミックス・ジャム,マーマレード,ゼリーに分けているが,ジャムは1種類の,ミックスジャムは2種類以上の果実を原料としたもの,マーマレードはかんきつ類の果実を原料としたもので果皮が認められるもの,ゼリーは果汁を原料としたものと定義している。《日本食品標準成分表》によれば,イチゴ・ジャム100gは,糖質67g,水分31.5g,タンパク質0.5g,脂質0.1g,繊維0.6g,灰分0.3gで,264kcalである。
執筆者:平野 雄一郎
フランスの作家。ピレネー山脈に近いベアルン,バスク地方で安穏な生活を送りながら,田園の風景,人間,動物,静物などを自由詩形式でうたい,早くからジッド,マラルメらに認められた。《暁のアンジェラスから夕べのアンジェラスまで》(1898)で一躍筆名を高めた後,写生を旨とする〈ジャム主義〉という一種のナチュリスム宣言を書いた。《桜草の喪》(1901)につづく《空の森の空地》(1906)では,友人クローデルの導きで得た信仰の光をうたうとともに,詩形の上でも伝統的定型詩に立ち戻った。ほかに素朴な農民生活の賛歌《キリスト教農耕詩》(1912)などの詩集,繊細な感情を描いた小説《クララ・デレブーズ》(1899),《アルマイード・デートルモン》(1901)などの作品がある。パリ文壇と一線を画した彼の反骨は,第1次大戦前の前衛芸術にかなりの影響を及ぼしたが,後には保守派の論客として現代詩には厳しい態度をとった。コレット,ラルボー,ジッドらとの往復書簡も出版されている。
執筆者:田中 淳一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の大学ブランド商品」事典 日本の大学ブランド商品について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報
マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...