ジョセフソン効果を利用して得られる電圧の標準。交流ジョセフソン効果を利用し,時間的に不変の電圧標準を作ることができる。Sn-SnOx-Sn,Pb-PbOx-Pbのように数nmの絶縁物薄膜を二つの起電導体ではさんだジョセフソン素子に,周波数fのマイクロ波を照射し,数Kの極低温で電圧-電流特性をとると階段状の電圧のステップ現象が認められる。n番目のステップ電圧をVn,eを電子の電荷,hをプランク定数とすれば,次の関係がある。2e/hは物理定数で,これを一定とすれば周波数測定より,電圧を誘導することができる。2e/h=483594.0GHz/Vが国際的に勧告され,世界の主要国立実験所はこの値から電圧標準を誘導,維持し,日本の電子技術総合研究所は1977年よりこの方式を採用している。通常周波数fは10GHz,n=246,2個の素子を直列に接続すると約10mVが得られる。この電圧を100:1の抵抗分圧器を介して,標準電池の起電力と比較し,値付けを行っている。その精度は10⁻8のオーダーである。この比較システムをジョセフソン電圧標準システムと呼んでいる。このようなシステムを簡易化した商用システムが一部に生産,使用されている。
執筆者:平山 宏之
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