ジョセフソン電圧標準(読み)ジョセフソンデンアツヒョウジュン(英語表記)Josephson voltage standard

デジタル大辞泉 「ジョセフソン電圧標準」の意味・読み・例文・類語

ジョセフソン‐でんあつひょうじゅん〔‐デンアツヘウジユン〕【ジョセフソン電圧標準】

ジョセフソン効果を利用して得られる電圧標準ジョセフソン素子周波数fのマイクロ波を照射すると階段状の電圧のステップが発生し、n番目のステップの電圧Vnは、Vn=nfh/2eと表される。プランク定数h、電気素量eは普遍定数であり、周波数fは極めて高い精度で得られるため、電圧の単位であるボルトを決定するための標準電圧を精確に定義できる。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジョセフソン電圧標準」の意味・わかりやすい解説

ジョセフソン電圧標準 (ジョセフソンでんあつひょうじゅん)
Josephson voltage standard

ジョセフソン効果を利用して得られる電圧の標準。交流ジョセフソン効果を利用し,時間的に不変の電圧標準を作ることができる。Sn-SnOx-Sn,Pb-PbOx-Pbのように数nmの絶縁物薄膜を二つの起電導体ではさんだジョセフソン素子に,周波数fのマイクロ波を照射し,数Kの極低温で電圧-電流特性をとると階段状の電圧のステップ現象が認められる。n番目のステップ電圧をVneを電子の電荷,hをプランク定数とすれば,次の関係がある。2e/h物理定数で,これを一定とすれば周波数測定より,電圧を誘導することができる。2e/h=483594.0GHz/Vが国際的に勧告され,世界の主要国立実験所はこの値から電圧標準を誘導,維持し,日本の電子技術総合研究所は1977年よりこの方式を採用している。通常周波数fは10GHz,n=246,2個の素子を直列に接続すると約10mVが得られる。この電圧を100:1の抵抗分圧器を介して,標準電池の起電力と比較し,値付けを行っている。その精度は10⁻8のオーダーである。この比較システムをジョセフソン電圧標準システムと呼んでいる。このようなシステムを簡易化した商用システムが一部生産,使用されている。
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法則の辞典 「ジョセフソン電圧標準」の解説

ジョセフソン電圧標準【Josephsonn voltage standard】

交流ジョセフソン効果を利用して電圧の単位(Volt)を与える方式.マイクロ波をジョセフソン素子に照射したとき,電流‐電圧曲線に規則的な階段状のステップが現れる.原点から数えて n 番目のステップの電圧は

で与えられる.v はマイクロ波の周波数で,10-10 以下の相対誤差で決定可能だから,きわめて精密な標準電圧が決定可能となる.わが国でも1977年以降この方式によって標準電圧が与えられることとなった.この際の比例定数基礎物理定数の定義値に従って

が用いられている.ジョセフソン同期効果*も参照.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報