皮膚関係と訳す。英語ではあるが、1953年(昭和28)に開催されたWHO(世界保健機関)のセミナーで、たまたまアメリカの一婦人がつくったことばを、平井信義(のぶよし)が紹介したことに端を発しているようである。幼児期とくに3歳未満の子供には、抱く、背負うなどの身体接触が、子供の情緒の安定に役だち、子供がからだで甘えたときに、それを受け入れてくれる相手(とくに母親)との間に緊密な情緒的関係が成立し、それが信頼関係となる。つまり、母親の温かいイメージが子供の心に刻み込まれ、これが、子供に不安が生じたときの心の基地になる。スキンシップの不足による情緒の不安定は、さまざまな異常行動を生み出す。たとえば攻撃的行動や各種の癖などとなって現れたり、無気力になったり、表情が固くなったりする。そのような子供の治療にはスキンシップがきわめてよい効果を現し、それは学童期の子供についても、思春期以後の子供についてもいえる。ただし、子供がスキンシップを求めていないときに抱くようなことが多いと抱き癖がつくことがある。また、親自身がスキンシップを楽しめないときには、なかなか子供の情緒の安定は実現できない。スキンシップにも親子ともに楽しいという状況が必要になる。わが国の添い寝もスキンシップの点から大きな意味がある。
[平井信義]
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