スピネット(英語表記)spinet

翻訳|spinet

デジタル大辞泉 「スピネット」の意味・読み・例文・類語

スピネット(spinet)

チェンバロ一種。形は細長い三角形四角形などがあり、多く弦は鍵盤平行に張る。16~18世紀に用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「スピネット」の意味・読み・例文・類語

スピネット

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] spinet ) 鍵盤つき撥弦楽器の一つ。チェンバロと同族で、一五世紀末ごろからドイツフランスイギリスイタリアなどで普及長方形ないし三角形の箱形で、弦は鍵盤に対して斜めに張られている。鍵につながるとげ状のジャックによって単弦の金属弦をはじいて音を出す。
    1. [初出の実例]「立上り、『スピネット』(楽器)の側にゆき」(出典:埋木(1890‐92)〈森鴎外訳〉一三)

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改訂新版 世界大百科事典 「スピネット」の意味・わかりやすい解説

スピネット
spinet

15世紀末から18世紀末まで愛好された鍵盤付き撥弦楽器の一種で,その名称はラテン語のspina(棘(とげ))に由来する。ハープシコードと同族の楽器で発音機構も同じであるが,ハープシコードが本来グランド型(鍵盤と弦とが直角)であるのに対して,一般にスクエア型(鍵盤と弦が平行)あるいはトランスバース型(鍵盤に対して弦が斜め)のものを指す。外形は(上から見た場合),スクエア型では長方形か不規則形(五角形が最も一般的であるが台形や六角形,七角形もある),トランスバース型では三角形である。1段鍵盤で,音域は普通3オクターブ半から4オクターブ半,ときに5オクターブに及んだ。音色はスクエア型の方が柔らかく澄んでおり,トランスバース型はやや曇るが,この型は17世紀後半に改良が加えられてハープシコードの音色に近づくと,小型で軽便という利点もあって家庭楽器としてたいへん普及した。ハープシコードと区別されるようなこの楽器独自の語法作品は特にないが,《ハープシコード・マスター》14巻(ロンドン,1718以前-34)といった曲集は,音楽愛好家たちがこの簡便な楽器で演奏できるようにという意図で出版されたものと思われる。
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百科事典マイペディア 「スピネット」の意味・わかりやすい解説

スピネット

鍵盤(けんばん)楽器の一種。ハープシコードと同属だが,より小型で単純化され,脚のつかないものもある。その名はラテン語のspina(とげ,針)に由来し,鍵盤1つに対し弦は1本で,ジャック(打弦槌(つい))の先端に付けられた爪(つめ)ではじかれる。奏者から見て左右に弦を張った長方形あるいは不規則形(五角形など)のものと,奥へ斜め45°に張った三角形のものとがある。17―18世紀,家庭用に普及した。→バージナル

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スピネット」の意味・わかりやすい解説

スピネット
spinet

楽器の一種。 1560年頃現れた鍵盤付きの撥弦楽器で,卓上用小型チェンバロ。音域は約4オクターブ。形は細長い三角,四角,五角形など。日本では小型のピアノをさす意味に用いられることがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スピネット」の意味・わかりやすい解説

スピネット
すぴねっと

チェンバロ

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世界大百科事典(旧版)内のスピネットの言及

【ハープシコード】より

…この点が,ハンマーで弦を打って音を出すピアノとは大きく異なり,まったく別種のタッチを必要とする。弦を鍵盤と直角に張った現代のグランド・ピアノに似た形であるが,広義には弦の張り方が異なるスピネットバージナルをも含めてハープシコード族と呼ばれることもある。図に示したように,鍵を打つと鍵の向こう端に立つジャックが飛び上がり,その側面に突き出た鳥の羽軸または革製のプレクトラムが弦を弾き鳴らす。…

※「スピネット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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