電波の受信方式の一つ。受信した電波を周波数変換して一定周波数の中間周波増幅器で十分な増幅度と選択度をとったのち検波する受信方式である。ラジオの初期には受信電波をそのままの周波数で増幅するストレート方式が用いられたが,感度をよくすると自己発振を起こすなどの制限が多かった。スーパーヘテロダイン方式はその改善のために開発された方式で,中間周波数に変えて増幅するため感度をよくすることができ,さらに受信したい信号とその周波数の近傍の妨害信号を分離するための選択度も十分にとることができる。現在のラジオ,テレビ受信機や通信用受信機のほとんどがこの方式を用いている。スーパーヘテロダイン方式には,一つの中間周波数を用いるだけではなくさらに2番目の中間周波数にして増幅することも行われ,これをダブル(二重)スーパーヘテロダイン方式という。衛星放送を受信するBSコンバーター,BSチューナーはこの方式を用いている。スーパーヘテロダイン方式では,一般に周波数変換の前に受信信号をそのままの周波数で増幅する高周波増幅器を設ける。これがなくとも受信はできるが,雑音指数(受信機の内部雑音による雑音の増加量を示す)が悪く弱い電波を受信することが困難になることがある。
執筆者:遠藤 幸男
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…今日までの無線通信の繁栄はこの発明に負うところがきわめて大きい。第1次世界大戦中にはアメリカ陸軍通信隊に勤め,軍用通信のために1918年にスーパーヘテロダイン方式を発明した。今日のラジオ受信機はすべてこの方式によっている。…
…これを放送波中継局という。
[受信機]
受信機は受信した高周波信号を中間周波数(IF)に変換して増幅するスーパーヘテロダイン方式を用いている。その構成は,アンテナ,希望する電波の周波数(中波放送は526.5~1606.5kHz,FM放送は76~90MHz)に同調して増幅する高周波増幅器,中間周波数(中波放送は455kHz,FM放送は10.7MHz)に変換するための局部発振器と周波数変換器,中間周波増幅器,検波器,音声周波増幅器などからなる(図2)。…
※「スーパーヘテロダイン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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