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セト(英語表記)Set

翻訳|Set

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

セト
Set

エジプト神話の神。初めは上エジプトの地方神であったが,次第にその邪悪な性格が強調され,オシリス神話では,肥沃な土地や豊かな水や光に対する不毛の砂漠,乾燥,暗黒を人格化した破壊,悪の神とされた。そこでは,オシリスの弟として王位を奪うため兄を殺すが,結局兄の遺児であるイシスの子ホルスにより打負かされる。ヒクソスの占領期には,ヒクソスの主神である戦神ステクと同一視された。そののち時代が下るにつれ,セトは迫害され一種の悪魔とみなされるにいたった。四角い耳と長い曲った鼻面と先が分れた尾をもつ動物の姿で,または肩の上に四足獣の頭を載せた人間として表わされる。

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百科事典マイペディアの解説

セト

古代エジプトの神。兄オシリスを殺して王位につき,甥ホルスに殺される。豚,カバ,ロバなどの姿で表現され,砂漠,無秩序,暴力の化身。元来は上エジプトの神だったが,新王国後期以後,追放され悪神となる。ギリシア人はテュフォンと同一視した。
→関連項目ネフテュス

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世界大百科事典 第2版の解説

セト【Seth】

古代エジプトの神。ヘリオポリス九柱神の一人。オシリスの弟でその殺害者。東デルタ地帯において多く信仰され,特にトク,エルバハナサ,タニス,テル・エルダブアが本拠。特定できない動物神で,不毛の砂漠,無秩序,戦争,嵐などの化身とされ,豚,ロバ,カバ,オリックスなどはセトの変身したものと考えられた。オシリスを謀殺し,その息子で歴代王家の守護神たるホルスと敵対したことから,邪神として知られるが,彼を信奉した王も少なくない。

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大辞林 第三版の解説

セト【Seth】

古代エジプトの神。オシリス神の弟で、オシリスを殺し遺児ホルスと敵対する。砂漠・戦争など悪しきものの化身とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

セト
せと
Seth

古代エジプトの創世神話で重要な役割を果たしている男神。兄と妹である地の神ゲブと天空の女神ヌトの間から二男神と二女神が生まれたが、セトはその末弟で、兄はオシリス、姉にあたる二女神はイシスとネフティスである。プルタルコスが伝えている「オシリス神話」によれば、セトは兄オシリスの名声をねたみ、兄を計略によって殺害すると、その遺体をばらばらにしてナイル川に流した。その遺体はオシリスの妻となった妹イシスによって集められ、セトは、オシリスとイシスの間に生まれた男神ホルスによって仇討(あだうち)されたという。セトはしばしばロバのような姿の獣として表され、オンボス市の神、ヘリオポリス市の九神の一つとされた。メンフィスの神話では、セトは上エジプト、オシリスは下エジプト、そしてセトを滅ぼしたホルスは上下エジプトを統一した者とみなされる。後代には悪の代表とされ、またギリシアでは多頭の怪物ティフォンと同一視された。[矢島文夫]

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世界大百科事典内のセトの言及

【カバ(河馬)】より

…【今泉 吉晴】
[伝承]
 欧米でのカバの呼名はギリシア語のhippopotamos(〈川の馬〉の意)に由来し,これは鳴声と形態が馬に似ていると思われたためである。カバは猟獣として古くから知られ,古代ローマでは皮を取って楯や冑に張り,エジプトではセト神にささげた。伝説によればセトはホルスに復讐(ふくしゆう)されてカバに身を変えたという。…

【鉄】より

…そしてこの高殿たたらによる鉄生産は,洋式製銑技術の導入後も盛んに行われ,釜石,八幡の操業後も大正年間まで続けられた。鉄器鉄鋼業【福田 豊彦】
[象徴と寓意]
 鉄は邪悪な力の象徴とされ,古代エジプトではオシリスの殺害者セトの持物であった。ギリシア神話でゼウスを襲う怪物テュフォンは,その骨が鉄でできていたといわれる。…

【ロバ(驢馬)】より

…ロバはのろまで,いうことをきかない愚かな動物というイメージが強く,ローマ人はこのような性質の人間をよくロバにたとえている。エジプトでは悪神セトにささげられた。ギリシアではディオニュソスがその背に乗って沼地を通った礼に,ロバを天界にあげて星座に変えたとか,人間の声を与えたとかいう神話がある。…

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