セブ(読み)せぶ(英語表記)Cebu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セブ」の意味・わかりやすい解説

セブ
Cebu

フィリピン,ビサヤ諸島中部,セブ島東岸にある市。セブ州の州都。ビサヤ諸島のほぼ中央部にあって,マクタン島に守られた天然の良港をもつ。一大商業中心地で,マニラに次ぐ貿易港でもある。荷扱い品はコプラマニラアサ,砂糖,木材,水産品などで,市内にはそれらの倉庫やマニラに本店をもつ商社,銀行の支店などが並ぶ。工業は織物製靴,食品加工,搾油,木工などがある。脊梁山脈が迫るため,市街は海岸に沿って延び,マクタン島を含む都市圏が形成されつつある。道路が集中し,東岸沿いの鉄道が通り,国際空港もある。 1521年マゼランが上陸した地であり,65年 M.レガスピがフィリピンにおける最初のスペイン人の町を築いて,71年マニラに移すまで植民地攻略の根拠地とした。しかしのちにはスペイン,アメリカの植民地支配に対する反乱で重要な役割を果した。スペイン文化の影響が色濃く残っており,サン・ペドロ城塞跡やサン・アウグスティン聖堂などがある。ビサヤ諸島中部で用いられるセブアノ語の文化の中心地で,フィリピン最古のサン・カルロス大学 (1595) など5つの大学がある。人口 61万 (1990推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セブ」の意味・わかりやすい解説

セブ
せぶ
Cebu

フィリピン中部、ビサヤ諸島のセブ島東岸の港湾都市。セブ州の州都。人口71万8821(2000)。長くマニラに次ぐ地位にあった都市で、ビサヤ地方の行政、経済、教育、交通の中心をなし、マニラとの間には頻繁に海空の便がある。セブアノ語を母語とする人口は全国第一で全人口の25%を占める。内海に位置するため降水量は少なく、基盤も石灰岩水田は少ない。食品、セメントなどの工業が市の内外に多い。橋で結ばれているマクタンMactan島には空港があり、輸出加工区が設けられている。1521年世界周航の途次立ち寄ったマジェランは、住民の紛争介入を試みてマクタン島で戦死した。また1565年から5年間、スペインによる支配の拠点となった。マジェランの十字架やサン・ペドロ要塞(ようさい)などが残されている。付近にはサンゴ礁が多く、そのいくつかは海岸保養地として開発され、日本人の観光客も多い。

高橋 彰]

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