ゼーガース(英語表記)Anna Seghers

精選版 日本国語大辞典 「ゼーガース」の意味・読み・例文・類語

ゼーガース

(Anna Seghers アンナ━) ドイツの女性作家。第二次世界大戦後、東ドイツを代表する作家として活躍社会主義リアリズム立場からの多く作品がある。代表作「第七の十字架」「死者はいつまでも若い」。(一九〇〇‐八三

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デジタル大辞泉 「ゼーガース」の意味・読み・例文・類語

ゼーガース(Anna Seghers)

[1900~1983]ドイツの女流小説家。社会主義リアリズム文学の代表者。作「第七の十字架」「死者はいつまでも若い」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「ゼーガース」の意味・わかりやすい解説

ゼーガース
Anna Seghers
生没年:1900-83

ドイツの女流作家。本名ネティ・ロドバーニNetty Radvanyi,旧姓ライリング。マインツのユダヤ系美術商の家に生まれ,ハイデルベルク大学などで学び,《レンブラントにおけるユダヤ人とユダヤ世界》で学位取得。ハンガリーから亡命の経済学者と結婚し,ベルリンに移る。中編小説《聖バルバラ村の漁民一揆》で1928年度クライスト賞を受賞。ドイツ共産党に入党し,プロレタリア革命作家同盟員として1930年ハリコフでの国際会議に参加。長編第1作は《仲間》(1932)。33年亡命し,パリに住む。文化擁護国際作家会議(1935,37)参加,40年マルセイユからメキシコへ移る。亡命中の作品では,強制収容所からの脱出者をめぐってナチス支配下ドイツの日常生活と庶民の連帯意識を描く《第七の十字架》が国際的反響をよぶ(1942年アメリカで英訳,ドイツ語版はメキシコで出版。1944年アメリカで映画化)。47年帰国,東ベルリンで東ドイツを代表する作家として活躍。ドイツ現代史の総括といわれる《死者はいつまでも若い》(1949)に続いて,《決断》(1959)と《信頼》(1968)では社会主義建設途上の問題を扱い,この三大長編で歴史と個人の関係を鋭くとらえた。《死んだ少女達の遠足》(1943),《弱者の力》(1965),《奇妙な出会い》(1973),《ハイチの三人の女》(1980)など短編集も多い。《ルカーチとの往復書簡》(1939)など評論では,現実体験の直接性,作家の空想力,実験的手法の重視を〈今日のリアリズム〉のために主張した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼーガース」の意味・わかりやすい解説

ゼーガース
ぜーがーす
Anna Seghers
(1900―1983)

ドイツの女流小説家。本名ネティ・ラドバニ。古美術商の娘としてマインツに生まれる。レンブラント研究で学位を取得。1928年に社会主義文学の代表的な中編小説『聖バルバラの漁夫の反乱』でクライスト賞を受けた。その後革命的作家として活動、33年ナチス政権下に一時捕らえられたが逃走し、フランスへ、さらに41年にはメキシコへ亡命する。『第七の十字架』(1942)、『トランジット』(1943)をはじめとする作品を完成、反ナチスの闘いを描いた。47年、当時の東ドイツに帰国。第二次世界大戦後のドイツ民主共和国の中心的作家として活躍した。51年スターリン平和賞受賞。長編に『死者はいつまでも若い』(1949)、『決断』(1959)、『信頼』(1968)、短編に『死んだ少女たちの遠足』(1946)、『第一歩』(1953)、『絞首台上の光』(1961)などがある。

[八木 浩]

『道家忠道・上野修・長橋芙美子他著『アンナ・ゼーガースの文学世界』(1982・三修社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゼーガース」の意味・わかりやすい解説

ゼーガース
Seghers, Anna

[生]1900.11.19. マインツ
[没]1983.6.1. ベルリン
東ドイツの女流作家。社会主義リアリズムの立場に立つ,現代ドイツ文学の代表者の一人。本名 Netty Radvanyi (旧姓 Reiling) 。 1928年に『聖バルバラの漁民一揆』 Der Aufstand der Fischer von St. Barbaraでクライスト賞を受け,作家の地位を確立。 33年ナチス政権によって逮捕されたが,その後逃亡に成功,パリ,メキシコと亡命を続けながら,反ファシズムの文学活動を行い,第2次世界大戦後は東ドイツに住んで作家同盟議長をつとめ,数々の賞を受けている。主著『第七の十字架』 Das siebte Kreuz (1942) ,『トランジット』 Transit (44) ,『死者はいつまでも若い』 Die Toten bleiben jung (49) ,『決断』 Die Entscheidung (59) 。

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百科事典マイペディア 「ゼーガース」の意味・わかりやすい解説

ゼーガース

ドイツの女性作家。マインツ生れ。ハンガリーの亡命社会学者ラドバンニと結婚,1928年から共産党員。処女作《聖バルバラの漁民一揆(いっき)》(1928年)で名声を得る。ナチスの弾圧をのがれてパリに行き,さらにメキシコに亡命し,反ファシズム活動を継続。この間に執筆された《第七の十字架》(1942年)は収容所を脱出した7人を扱った抵抗文学の傑作。1947年東ドイツに帰り,両大戦間の国民の苦難を描く《死者はいつまでも若い》(1949年),《決断》(1959年)などを発表。

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世界大百科事典(旧版)内のゼーガースの言及

【反ファシズム】より

… そして翌35年,これらフランス知識人はファシズムに対する文化の擁護を訴え,6月パリに24ヵ国230名の文学者を集め,第1回〈文化擁護国際作家会議〉を開催する。外国からの参加者には,ハインリッヒ・マン,ブレヒト,ムージル,ゼーガース,ハクスリー,バーベリ,エレンブルグらがいた。〈作家会議〉は,翌年ロンドンで書記局総会,37年7月内戦下のマドリードとパリで第2回大会を開催し,さらにネルーダ,スペンダー,オーデンらの参加をみた。…

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