ソマリランド(英語表記)Somaliland

翻訳|Somaliland

精選版 日本国語大辞典 「ソマリランド」の意味・読み・例文・類語

ソマリランド

(Somaliland) アフリカ大陸の東端、インド洋に突き出た半島状の地域で、「アフリカの角」と呼ばれる。北半部はアデン湾に面し、南半部はインド洋に面する。熱帯にあり、大部分砂漠に近い乾燥地帯で、遊牧民ソマリ族居住。大部分をソマリア民主共和国が占める。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ソマリランド」の意味・読み・例文・類語

ソマリランド(Somaliland)

アフリカ大陸の東端、インド洋に突出した半島の地域。サイの角の形をしていることから「アフリカの角」とよばれ、大部分をソマリアが占める。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソマリランド」の意味・わかりやすい解説

ソマリランド
Somaliland

現在のソマリアジブチを形成する地域の歴史的名称。古代エジプトで「プントの国」と呼ばれた地方の一部と考えられる。7~12世紀にアラビア半島のイスラム商人が海岸地帯に住みつき,アデン湾に面してゼイラとベルベラ,インド洋沿岸にメルカ,バラーウェ,モガディシオの町をつくった。住民はスルタン領を築き,内陸部に暮らすキリスト教徒エチオピア人に戦いを挑んだ。 10~15世紀,遊牧民のソマリ族がソマリランド北部を占領イスラム教徒となってスルタンの軍隊に加わり,やがてスルタン領を支配下に収めて,勢力範囲を南のケニアまで拡大した。 19世紀後半,フランスが紅海入口のオボクを,エジプトが残る北部海岸地域を占領し,南部はザンジバルのスルタンの支配下にあった。 1880年代末,フランスは支配地を現在のジブチまで広げ,イギリスは北部海岸地方一帯を保護領とし,その他の地方はすべてイタリアが支配した。 1899年,ソマリランド北部でイスラム教指導者サイイド・ムハンマド・カブドゥル・ハッサンがイギリスに対して蜂起し,1920年に死亡するまで内陸地方を掌握した。第1次世界大戦後,イタリアが最南部のジュバランド領有,1936年にイタリア領ソマリランドとエチオピアを合わせてイタリア領東アフリカとしたが,第2次世界大戦でソマリランドのイタリア領はイギリスに占領された。 1960年,イタリア領とイギリス領の両ソマリランドが合併し,ソマリア共和国として独立した。フランス領ソマリランドは 1977年にジブチ共和国として独立した。 1991年,旧イギリス領ソマリランドがソマリランド共和国として独立宣言,1998年にはプントランドと呼ばれるソマリア北東部もソマリアからの分離独立を宣言したが,ともに国際的に承認されなかった。しかしソマリア内戦が国内全域に拡大するなか,ソマリランド共和国は比較的安定した状態を保った。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ソマリランド」の意味・わかりやすい解説

ソマリランド

アフリカ東端,インド洋とアデン湾に囲まれる地域。名はソマリの土地を意味する。乾燥地帯で,おもに遊牧が行われる。19世紀末〜20世紀に英・仏・伊3国の植民地に分割され,一部はエチオピア,ケニアに編入された。現在,旧英・伊植民地はソマリアとなり,旧フランス領アファル・イッサはジブチとなった。→アフリカの角
→関連項目ハルゲイサベルベラモガディシオ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソマリランド」の意味・わかりやすい解説

ソマリランド
そまりらんど
Somaliland

アフリカ北東部、アデン湾とインド洋に面する地域。サイの角(つの)の形をしていることから「アフリカの角」とよばれる。かつてのフランス領ソマリランド(現ジブチ)、イギリス領ソマリランド(現ソマリア西半)、イタリア領ソマリランド(現ソマリア東半)の範囲で、エチオピアのオガデン地方、ケニア北東部を加える場合もある。大部分が乾燥地帯で、遊牧民の多いソマリ人が住む。7世紀以後アラビア半島のイスラム教徒が渡来し、のちトルコの支配下に入り、19世紀にはエジプトの属領となった。1880年代にフランス、イギリス、イタリアが相次いで進出し、それぞれ保護領とした。1960年イギリス領とイタリア領は合併して独立しソマリア共和国となったが、フランス領は1977年国民投票でジブチ共和国として独立した。ソマリアはエチオピアに対しオガデン地方の返還を求め、しばしば紛争を起こし戦争状態が続いている。この地域は、中近東からインド洋へ抜ける重要な石油輸送路に位置するうえ、ソマリア、エチオピアへのアメリカとソ連の思惑が絡み問題は複雑化していた。また、近年干魃(かんばつ)とイナゴの大群の襲来が続き、戦争の長期化とともに難民が生じ、新たな問題もおこっている。

[青木澄夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社世界史事典 三訂版 「ソマリランド」の解説

ソマリランド
Somaliland

アフリカ大陸北東端部,北はアデン湾,東はインド洋に面する地域
19世紀末のアフリカ分割の過程において,フランスがジブチを中心とする地域,イギリスがアデン湾岸,イタリアがインド洋岸を獲得した。1935年,イタリア領はエチオピア戦争の侵略基地となり,第二次世界大戦後は国連の信託統治領となった。1960年6月イギリス領ソマリランドは独立,同年7月独立した旧イタリア領と合邦し,ソマリア共和国となった。フランス領は,1977年ジブチ共和国として独立した。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のソマリランドの言及

【ソマリア】より

…アデン湾の南岸からインド洋沿岸にかけて,かぎ形に展開する国土をもち,〈アフリカの角(つの)〉地域の主要部分を構成している。1960年6月に北部のイギリス領ソマリランドが独立し,つづいて同年7月に南部のイタリア信託統治領ソマリランドが独立すると,これと合邦してソマリア共和国(1969年にソマリ民主共和国と改称)となった。国名はいかにも牧畜国らしく,〈乳を搾る〉を意味する〈ソマール〉に由来する。…

【乳香】より

…焚(ふん)香料で,たけば黒煙を出し,はじめは香気が薄いが,やがて白煙をあげ芳薫となる。主産地はソマリランドとアラビア南部ハドラマウト地方。没薬(もつやく)とともに古代オリエント,エジプトの代表的香料で,テオフラストス《植物誌》,大プリニウス《博物誌》にも記載が見える。…

※「ソマリランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android