精選版 日本国語大辞典 「ソーダパルプ」の意味・読み・例文・類語
ソーダ‐パルプ
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化学パルプの一種で、セルロース原料からソーダ法で製造したパルプ。略称AP。ソーダ法は、水酸化ナトリウム水溶液か、水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合液などの強いアルカリ水溶液を蒸解薬液とする。140~180℃でセルロース原料を蒸解(煮てパルプ化すること)し、蒸煮物をパルプと廃液とに分離洗浄してパルプを得る。セルロース原料としては針葉樹材、広葉樹材などの木材チップやコットンリンター(綿の繊維)、コウゾ、ミツマタおよびアサなどの非木材が広く使用できる。蒸解の際、リグニンのみ選択的には溶出しないので、セルロースもヘミセルロースも崩壊しながらかなりの量が流出する。そのためクラフトパルプに比べてリグニンの含有量が多く、パルプの収率、純度、強度ともに劣る。ソーダ法による木材パルプはほとんど生産されていないが、漂白がクラフトパルプに比べはるかに容易なため、小規模の非木材パルプの工場で多く使われている。
一般に晒(さらし)ソーダパルプはかさがあり、木材パルプは吸取紙、書籍用紙、表紙、筆記用紙などに用いられ、非木材パルプは特殊紙原料として用いられることが多い。コットンリンターの未晒アルカリパルプを精製漂白して得られるパルプは、きわめて高純度であるので、濾紙(ろし)にして化学分析や化学薬品の精製等に使われるほか、ニトロセルロースの製造用原料として使われる。
[御田昭雄 2016年4月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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